昨日から遠く沖縄からご来館くださいました親子の方がいらっしゃいます。こちらの親子さんは、今回旅行をするにあたりインターネットで検索をされたそうです。ホームページを見て石苔亭いしだに決めたとおっしゃってくださいました。何千という数の旅館や宿泊施設がある中で、私達にとって見るとこうして選んできてくださることは、本当に奇跡に等しい事です。そんな皆様の期待にしっかりとお答えできるよう「出会いに感謝し」「心」を大切にしてゆきたいと改めて気づかされます。
今回はそのお客様におきましたエピソードをひとつご紹介させていただきたいと思います。まず沖縄から東京へ出られ中央本線「あずさ2号」を利用し長野県岡谷市まで来ます。そこで飯田線に乗り継ぎをし今度はローカル線で天竜川を車窓ごしに楽しみながら飯田駅に到着です。そこで初めて石苔亭いしだの迎えのバスと出会い、旅館まで・・・・時間で言えば本当に長い旅となりました。さすがにお客様もお疲れになったようです。
送迎バスの道中では、私共のスタッフと色々な話をしてきたようでございます。
当社の予約担当が沖縄の石垣島出身の者であるということ。そして今、伊那の高遠城の桜が見頃であること、の2点に興味を抱かれたようでした。早速お食事をされながら高遠城の桜を翌日見に行きたいとの事で交通手段の相談をさせていただきました。少し遠くて大変ですが、また電車を利用されることとなりました。そのときです、どんな偶然か出会いが石苔亭いしだの中で起きたのか、些細な会話からステキな展開へと変わってゆきました。
それはご宿泊のお客様の中から、「自分達が伊那へ帰るから良かったらお送りいたしますよ」とおっしゃってくださる方が現れたのです。沖縄から来られたお客様は車がありませんでしたのでタクシーや電車を使う事になっていたとですが実際時間も金額も大変かかる状況でした。ましてや知らない土地でのことですから乗り継ぎで分からないことも不安もあったことです。そんな時にこんなご縁が持ち上がり息投合し一緒に出発されることとなりました。
本名些細な会話の中からこんな出会いに進展し、旅がより一層思いで深いものになったことと思います。以前石苔亭いしだは、これからの旅館の在り方を考えた時こんな出来事が起きる旅館を目指してみようという話になったことを思いだしました。お部屋の庭を作り直すとき、隣の部屋のお客様と会話が思わず出来てしまうような空気を作ってみよう。最近のホテルの形態のように部屋ごとを完全なプライベート化するのではなく、家族同士しでもおもわず会話が始まってしますようなきっかけ作り、隣のお部屋や館内ですれ違うお客様同士が自然と会話が始まるような空間作りの演出です。
これは隣近所や人付き合いが希薄してきている現代社会において、もっと人のぬくもりや心に宿っている善の心に自然に触れられる空間をもとめたものでした。今回はまさしくその状況ではなかったでしょうか?何がきっかけだったか、些細な会話からだとは思うのですが何の策略も在りませんでしたので誰も思い当たりません。
現代社会の常識では、旅に出て、あるいは日常の中でもどんな人がいるか分からないなかでむやみに他人を信じついてゆくようなことは禁じられなければならないのかもしれません。しかし、そんな世の中だからこそ皆様に安心してご利用していただける旅館へと成長をしてゆかなければならないのですね。
以前から話しているように、石苔亭いしだはご利用してくださるお客様に大変恵まれております。そんなお客様がご利用してくださるから、またお越しくださるお客様、ご紹介してくださるお客様も同じように和が広がってまいります。そして私を含め経験の浅い若いスタッフの幼い心も養われます。
これからもご利用くださるお客様が、旅の「一期一会」に出会えるような旅館でいられるよう精進して参ります。