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バリ島のホテルでは、館内のどこにいても容易に風を感じることができます。
窓を開けて室内に風を入れるというよりは、基本的には柱と屋根でできていて、窓や壁はその風に当たりたくない時はご利用くださいといった感じです。温かいバリだからできる事かもしれませんが、私たち日本にはバリにはない「四季」があります。この四季それぞれの違った風をお客様にお届けできたらと思いました。
もうバリに来て1週間以上が過ぎました。雨季とはいえ日中は30度近くまで気温は上がります。もうすっかり日本が冬だということも忘れています。もしかしたら寒い日本に帰ったとたん、やっぱり暖かい部屋が一番だなと思い直すことになるのかもしれませんが、今のところご宿泊されるお客様に風をどうやったら感じていただけるかという方向で、いしだのサービスを再構築しています。
こうしてバリにいながらも、若旦那は日本の業者の方と連絡を取り合いながら、着々と客室にデッキをつくる工事や、半露天風呂の工事を進めています。ここバリで感じた気持ちのいい風を、日本の風に置き換えたときに、どんな時間と空間が現実のものとなるのか今から楽しみです。
もうこのホテルで過ごして3日が経ちます。
ホテルのスタッフの皆さんがすれ違うときにいつも「ミス・ヘンミ、オゲンキデスカ？」と声をかけてくれる事が嬉しくて、何の用事もないのにフラフラとホテル内を歩きまわってしまいます。
ここフォーシーズンでは、会話の中にお客様の名前を3回は入れましょうとか、お客様からのお電話は3回以内でとりましょうなど、基本的なことは決まっているけれど、どのようにお客様に接したらいいとか、お客様とのどんな距離のとり方をしたらいいかなどの細かい決まりはなく、それぞれサービススタッフのホスピタリティーで毎日のサービスが行なわれていることを知り驚きを感じました。
それは、どのサービススタッフに会っても、みんな親切で心からの笑顔で応えてくれるからです。
日本の旅館だと、ともすればお客様の名前を呼ぶことにのみ気がとられて、その先のサービスがなかったり、外国のお客様から話しかけられるのを避けているような対応もよく見られます。しかし、ここではそういった素振りはどのスタッフからも感じられません。フォーシーズンの面接では、現地の言葉が話せなくても英語が話せればいいそうです。ということは、世界中から訪れる言葉がわからないかもしれないお客様に、このホテルのスタッフは自分の意志でどんどん声がけをしていっているということです。
チェックアウトの時に、初めて出会うお客様に対して「○○様！」とお声がけをして感動していただくことも大事かもしれませんが、私たちの旅館では、ここフォーシーズンのように、時間が経つごとにお客様との親密度が増していくような…そんなお客様と思いを共感できるようなサービスが提供できたらと思います。
明日は研修第2班がデンパサールに到着します。
「日本が日本に還る」
外国人に日本のイメージは？と問いかけると「フジヤマ・ゲイシャ・サムライ・ニンジャ・・・・」となる。日本人からすると時代錯誤もいいところである。そんな話はとっくの昔の話で、今の日本はもっとお洒落で洗練された国である！と言いたくなる。
しかし、その洗練された「今の日本」というのが、実はなんとも無国籍で、無宗教で、自分が何者であるのかを見失ったコピー文化であることにどれだけの人が気づいているだろうか。
バリはヒンドゥー教の国である。
朝になると家のいたるところにお供え物の花を飾る。昨晩は15日に一度あるという祭礼の日で、村じゅうで踊りが披露されたり、聖水の儀式などがあった。
外国の友人から「あなたの国はどんな文化がありますか？」と聞かれたらなんと答えよう。
そう考えると外国人が語る「フジヤマ・ゲイシャ・サムライ・・・」も、まんざら的外れでないような気もしてくる。世界では今「禅スタイル」というのが流行していて、日本家屋を模した別荘が高値で売り買いされているという話を聞いた。
私たち日本人に求められているのは、異文化を器用に取り込むことではなく、日本らしさを深く理解しなおし、あらためて「日本に還る」ことではないかと青いバリの空を見上げながら思った。
昨晩、1班のメンバーをデンパサール空港で見送った後、友人が勤めている「フォーシーズン・サヤン」へ向かいました。
深夜にチェックインしたため分からなかったのですが、朝見てみると深い渓谷にそびえ立つように建てられたホテルは、まるで映画にでも出てくるような天空のホテルのようでした。客室のプールサードにはゆったりと座ることのできるチェアーが置いてあり、その向こうに見えるやしの木には数匹のリスが登ったり降りたりしていました。
ロビーエントランスはオープンエアで、バーカウンターは渓谷に向かって突き出すように設置されています。ちょっと距離のある大きなプールにはバギーで移動しますが、その道なりにある野菜畑や田んぼが景色の一部として、私たちに安心と安らぎを与えてくれました。そんなホテルの様子を眺めながら、私たちの旅館のことを思っていました。
オープンエアのロビー・プールサイドのデッキチェア・早朝のヨガ教室・・・・。
多くの人は言うかもしれません。それはバリ島だからできることだと。梅雨もある日本でオープンエアのロビーは無理でしょ・・・やっぱりサッシがないと。電灯に虫が寄ってくるでしょ・・・お客様から苦情が来るよ。プールに入ることのできるのは温かい国だからでしょ・・・日本人はなんと言っても温泉、温泉。
しかし、ここバリ島にも雨は降ります。雨季にあたる今のシーズンは激しいスコールが毎日のようにあります。電灯のまわりには虫が飛んでいますし、テラスにおいてあったバナナは朝にはリスに食べられていました。それでも許せてしまうのは、このホテルが私たちに何を味わってもらいたいかが明確に示されてるからだと思うのです。
できない理由をいくら書き連ねてみてもなにも進歩はありません。大事なことは、お客様に味わっていただきたい時間と空間を明確にして、あらゆる可能性を実現させるために、なにをどう変えていくかを考えていくことだと思いました。
今日で1班のメンバーは帰国です。
昨晩は夜の10：00からミーティングが海辺のテラスで行なわれ、若旦那からこんな話がありました。
「なにもしない贅沢を味わっていますか？石苔亭いしだに持って帰るお土産はできましたか？」
2日目に見学をした2つの一流ホテルは、本当に凄いの一言につきました。私たちが宿泊しているホテルはそのホテルに比べますと、ちょっとグレードは落ちます。しかし、バリ島のどのホテルにも共通しているものがあります。それはスタッフの笑顔であり、贅沢に流れている時間であり、頬をなでる風です。価格の違いによって部屋やアメニティーは変わるかもしれませんがそれらは変わりません。
同じように私たちの旅館は、バリ島のホテルと同じ施設を作ることは出来ません。しかし、ホスピタリティーという点で私たちのもできることがたくさんあると感じました。
今日は朝から天気もよく、スタッフは研修旅行最終日をそれぞれの楽しみ方で過ごしていました。これからの石苔亭いしだがどう変わっていくことができるのかが勝負です。
深夜12：00の飛行機で1班のメンバーは帰り、2班のメンバーは12月31日にバリ島へ到着します。私はその間、バリ島にずっといてあれこれと考えをめぐらせていようと思っています。
今日と明日はスタッフ全員フリータイムです。
オプショナルツアーに申し込んで島内を見学する人や、ホテルに残ってホテルのサービスを満喫する人など思い思いの一日を過ごしました。
私たちはバリ島の沖合いにあるレンボンガン島のクルーズツアーに参加しました。朝は昨日と同じスコールのような大雨でしたが、午後にはすっかり止み、青空も広がってきました。新婚旅行以来の2回目の体験ダイビングでは、澄んだ青い海の中をいろいろな魚に触れながら、陸上とはまったく違う別世界を体験しました。
帰りのクルーザーでは、デッキで生バンドの演奏があり、ノリノリのギターのリズムに合わせて踊りました。リクエストで若旦那がボーカル飛び入り参加などのサプライズもありました。
バリ島の人が信じているヒンドゥー教の教えでは、生きている間は、いずれ死んで天国へ行くための「修練」の時間であるということを教えてもらいました。サービススタッフは、みんな優しくて心からの笑顔で応えてくれます。純粋な陰りのない瞳に魅せられてしまいました。サービススタッフだからということではなく、村内の人々全てが本当に親切に接してくれました。
夕方、海を臨みながら、ホテル内のプールに入りながら、こんな時間がずっと続いたら最高だなと思いました。
今日は朝からスタッフ全員でホテルを出発して、バリ島の一流ホテルの見学へ出かけました。
朝からの大雨で道が洪水となり、道が片側通行になる中、雨水をおしのけバスは進んでいきました。今年は異常気象で、通常ならばスコールのように一気に降ってカラッと晴れてしまうのがバリの雨の降り方なのが、日本の梅雨のように長雨になっているとガイドのやす子さんが教えてくれました。
日本でも今年は大寒波に見舞われ、大雪で多大な被害がおこりましたが、ここバリ島でも異常気象の兆候は現れています。
今日、見学したホテルは「アマンダリ」と「ピタマハロイヤハホテル」でした。
「アマンダリ」は、風のそよぐ音や小鳥のさえずりなどを自然のBGMとして、その他の音楽は一切流さず、敷地内はとても静かで落ち着いた空気が漂っていました。ベテランのサービススタッフが多いのも特徴で、このホテルは日本の旅館サービスを参考にして、つかずはなれずのサービスの徹底をしているというお話を聞きました。
「ピタマハ」は王様が贅の限りを尽くして建てた去年の12月にオープンしたばかりのホテルで、山を切り崩して作られたというその景観にただただびっくりしました。眼下に広がる多数のビラ、流れ落ちる滝、山肌に絡みつくように張り巡らされてる階段、どれをとってもこれまで私たちが日本で見てきたどの風景とも違う、大迫力の風景で自分達がその風景の一部となっていることも信じられないほどでした。
あらためて世界の一流リゾートホテルの力を感じました。
2月4日まで「若女将の日記」はお休みと先日お話しましたが、若旦那がパソコンをバリ島まで持ってきて、ホテルのデスクの上に設置してくれたため、その日にあったことをバリ島からお伝えすることが可能となりました。
朝6：00に石苔亭いしだを出発してセントレアから10：30の飛行機で、私たちはバリ島へと出発しました。ほとんどのスタッフが海外予行は初めてと言うこともありましたが、それほどのパニックもなく今日の16：30にはデンパサール空港へ到着することができました。
日本はコートがなければ外を歩けないくらい冷え込んでいましたが、それが嘘のようにバリの蒸し暑さにスタッフ一同ビックリしていました。入国審査を済ませ今日から3泊するホテルへの送迎バスに乗り込みました。
バスの中で若旦那から
「この国にずっとスタッフを連れてきたかった。その願いが今日叶いました。遠いバリから石苔亭いしだを眺めてみよう。きっと違ったサービスの形が見えてくるはずです。」
という話がありました。
これから4日間、私たちはひたすら、のんびりと、ゆったりとした時間を楽しみます。その中にこそ私たちが今年お客様に提供させていただくサービスのヒントがあるはずだと信じています。
明日から、石苔亭いしだのスタッフは2班に別れて、バリ島へ研修旅行へ出かけます。海外旅行は始めてというスタッフがほとんどでしたが、パスポートもなんとか全員揃っていざ出発です。
今回の研修旅行の目的は「なにもしない贅沢を味わう」ことです。私と若旦那は、1班と2班に同行するため今度日本へ帰ってくるのは2月4日です。この仕事についてからこんなに長い期間旅館を留守にしたことがないので不安ですが、1年間、ほとんど休みがなかった自分へのご褒美だと思って、やりかけの仕事のことや、帰ってきたら山積みになっているであろう書類の山のことは忘れて、ひたすらのんびりしてこようと思っています。
「若女将の日記」もしばらくお休みさせていただきます。ごめんなさい。
そのかわり、今度、皆様にお会いできるときには、たくさんのお土産話をもってくることができると思います。
若旦那がずっと前から言っていた「一番サービスマンにとって大切なことは、体感して実感することだ。」という願いが、こうして本当にスタッフ全員での研修旅行として実現できたことに大きな喜びを感じます。
私たちスタッフがまず「なにもしない贅沢」を味わうことが、お客様へのより高いサービスを行なうための一番の近道です。
楽しく、のんびりと、和気藹々と、せっかく作ってもらったこの時間を満喫して、これからの石苔亭いしだのサービスに役立てることが出来るように研修してきたいと思います。
それでは行ってまいります。
先日、匠の饗宴の山田シェフとのコラボレーション企画があったことをお話させていただきました。
多くのお客様に一流のシェフの方々のお料理を召し上がっていただき、「美味しかった」と言っていただけるのも嬉しいことなのですが、私たちにはもう一つとっても楽しみにしていることがあります。
それは、それぞれのシェフが、私たちスタッフのためにちょっと多めに料理を作ってくださり、仕事が終わった後、みんなでそれを食べることができることです。
今回、山田シェフは、私たちのために会席料理でも出されたスパゲッティーを大皿に山盛り作ってくださいました。リンゴのタルトも一口サイズに切ったものを人数分ご用意くださいました。長田板長からも差し入れが入り、休憩室の机の上はあっという間に豪華な料理でいっぱいになりました。
その日の休憩室は、みんな疲れているにもかかわらず、「この料理を出したときはお客様はこんな表情だったね。」「今まで食べたことのない味だね。」と、シェフの用意してくれた料理を囲みながら、夜遅くまで盛り上がっていました。
