「親切」という言葉は「親を切る」と書きますよね。
人に優しくするというような意味のある言葉なのに、それとは反対に大切な「親」を切ってしまうというのは正反対の行為のような気がして、どうしてこのような字を書くのか調べてみました。
「切」という字は「ものを切る」という意味の他に「非常に○○である」という意味があるようです。「親」は「おや」という意味と「したしい」という意味があります。つまり「親切」とは「非常に親しくする」ということだそうです。
「大切」という字も同じような考え方をすればいいということでしたが、この字は和製漢字らしく、時代によって意味も違うため単純な意味の解釈はできないそうです。
先日、石苔亭いしだにて、生まれてすぐに生き別れた母親と娘さんの50年ぶりのご対面がありました。1ヶ月ほど前に娘さんが当館にいらっしゃいまして、
「石苔亭いしだで親子の対面をしたい。」
というお話をいただきました。ドラマのようなお話の内容に最初は驚いていましたが、同時にお客様にとりまして一生に一度のこの大切な日に、私たちが立ち合わせていただけることに感謝いたしました。
当日、ご来館になられたお客様は、いつまでもお話が尽きることなく、何十年間止まっていた時間を一気に取り戻しているかのようでした。
一度切れてしまった親子の縁がまたこうしてつながっていく様子を拝見させていただきながら、「親切」と「大切」の意味が、また違った解釈として頭の中をぐるぐると回っていました。