今日、お客様からたずねられた漢字を調べながら、久しぶりに「漢和辞典」を開いてそれとなしに眺めていました。
「心」部(りっしんべん)のところを見てみますと、全部で300字前後の漢字がありました。ひとつひとつその意味を見ていったのですが、驚くことに「心」の付く漢字のうちで半分以上の漢字の意味が、人間の心の暗い部分を表す字でした。その中でも多かったのが「おそれる」ことを表した漢字です。
現代ではほとんど使われていない漢字も多くありましたが、人間がまだ自然より弱いことを知っていて、その自然に対して畏敬の念を持っていた頃、きっと「おそれる」という気持ちが、私たち人間の心に様々なかたちであったのではないかと考えます。それがいつの間にか地球上で一番強いものは自分たちだと勘違いをし、「おそれる」という言葉を忘れていった・・・・そんなふうに感じました。
昔の人は「おそれる」ことを知っていた。それは今は使われなくなった、それを意味する漢字の多さが物語っていると思います。