「型押し」することと「壊していく」こと
高いバリの空を見上げながら遠く我々の旅館のことを思っています。
日本では今、アジアンテイストの旅館が流行している。しかし、ここバリ島に来て思うことは、いくらバリホテルのサービスが素晴らしく、スタッフの笑顔が心を和ませてくれると言って、この国のサービスをそのまま日本には持ち帰ることはできないということである。
世界にも通用する日本旅館のあり方を考えるときには、2方向の視点から常に考えなければならない。
一つはここバリ島から眺めた「日本旅館」である。日本に何を期待しているのか?先日記述した「サムライ・ゲイシャ・・・」ではないが、日本が日本らしいスタンスを持ってお客様をお迎えするというのはどういうことかという視点で考える必要がある。
いわば「日本」という枠を使ってサービススタイルを「型押し」していく仕事。
もう一つは日本から世界を眺めた「国際ホテル」としての視点である。これは従来の日本のサービススタイルを内側から「壊していく」仕事。
「型押し」しながら同時に「壊していく」
矛盾しているようであるが、この2つの視点から常に我々の旅館を見つめていかなければならない。
日本を「型押し」しながら「壊していく」時に、見える断面やかけらが実にリアルで粋な現代の「リアルジャパンスタイル」だと思う。まだまだやらなければならないことは山積みであることにこの国で気づかされた。