今日、若旦那の声がけで「緊急幹部会議」が行なわれました。先日の「早座祭り」の縮小を受けて、石苔亭いしだではこの祭りにどう関わっていくかを問うものでした。
最初に、若旦那から早座祭りの基となった「INAKAプロジェクト」の構想についての話がありました。話は4年前にロンドン・フィレンツェで行なわれた日本の文化イベントに石苔亭いしだが参加した時のまでさかのぼり、ざっとこんな話がされました。
~若旦那から~
外国から見た日本の魅力として「大都会の東京・大阪」「新幹線と富士山」「神社仏閣の京都」と並んで「日本人の精神性」がある。しかし、「日本人の心」と言ってもそれは目に見えないものであり、手にとって触ることのできないもので、なかなかそれらを感じることのできる観光地はない。どうやって「日本人の心」を実感・体感できるものとするかに、新しい日本の観光地のあり方がある。
私たちの住む南信州には、昔ながらのお祭りが、自然やヒトやモノに感謝を表す「型」として今でも多く点在している。狂言や能などの伝統芸能に「型」があるように、地域に伝わるお祭りは、日本人の心を表すひとつの「型」である。南信州に伝わる数々のお祭りを、年間を通じてここ昼神温泉で行ない、観光客の皆さんがそのお祭りに参加することで、「日本人の心」を実感・体感してもらうことができれば、日本の魅力はもっと全世界に発信していくことができる。それが「INAKAプロジェクト」の趣旨である。
・・・という話でした。
一昨年、昨年と2回にわたって行なわれた「早座祭り」は、地元伝統芸能の皆さん、農作物の生産者の皆さん、村民の皆さんと、昼神温泉を訪れた観光客の皆さんが一体となった「イベント」ではない「村祭り」となりました。人間国宝の茂山千作先生がお出でくださり、阿智神社で玉串奉奠をしていただき、おめでたい「福の神」の狂言を演じていただきました。最後には、村人、観光客、旅館関係者全員が、「パンパン」と手を叩いて、皆さんの多幸を祈願いたしました。
この「早座祭り」が、昼神温泉のすべて年間行事の根幹となります。だからこそ、「神ぐ和しの里」では、この「早座祭り」を年間の中で一番重要なお祭りとして位置付けていました。「祈願祭」があって、「感謝祭」があって、神様にお休みいただく「昼神の御湯」と続くというのが、若旦那の構想です。「早座祭り」が単なるイベントとなってしまうことを若旦那は心配していました。そして私たちにこれから昼神温泉はどうなっていかなければならないか?石苔亭いしだはどんな行動を起こせばいいのか?お客様が本当に求めているものはなにか?本物とはなにか?について、全員で真剣に話し合いました。
まだ、今日だけの話し合いでは、答えが出ませんでした。
でも、これは私たちがどんな信念を持って温泉郷をつくっていかなければならないのかという、ここに旅館が存在すること自体の意味を問う大切な課題だと思っています。時間はかかるかもしれませんが、一人一人がじっくり考えていきます。
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