竹薮というのは一度場所を決めて根を張ると、所狭しと一気にその場の生態系を無視して生え続ける。香港の街並みを見ていると、高さを競うように建設されたビル郡が、あたかも地面から生えてきた生き物のように思える。もともとの香港の姿かたちはどこにも見ることはできない。地表の形はビルのスカイラインで形づくられ、海との境界線は画一化された埋め立て地で形成される。
人間の欲望が「街」という形になると、「香港」という形になるのではないかと思う。
竹薮はある程度、生息域を広げるとそれ以上は藪を広げることはない。竹の根の先はとても柔らかいため、硬い岩盤などの障害物に当たると、それ以上、根を広げることができないからだと聞いたことがある。
「香港」という人口の竹薮があるから、地球の中での自然と人間のバランスが均衡しているとするならば、こういった街も必要なのであろう。人間をひと所に隔離して好きなように楽しませる。しかし、竹薮のルールをこの街も忘れてはいけない。他の自然に迷惑をかけないように。
夜空に伸びるネオンのビルを見上げながら、そんなことを思っていた。
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