昨年、瀬戸内寂聴先生に復曲していただいた狂言「木賊」
350年以上前に演じられていた狂言のあらすじだけ残っていたものを、瀬戸内寂聴先生の新しい解釈も入れながら書き下ろされ、茂山千三郎先生の演出によって復活した狂言です。
その狂言「木賊」の中にこんな台詞があります。
「園原、伏屋、帚木、更級、姨捨山に田毎の月と、見どころ多く、あれよあれよという間に、はや善光寺に辿り着きました・・・」
仕事をサボっていた太郎冠者が、主人に怒られた際に、実は善光寺にお参りに行っていたと言って言い訳をする場面です。長野県の南信から北信に向かって見どころを並べながら善光寺に行く道中を説明するところですが、その中にあります「姨捨山」と「田毎の月」を見てきました。
ちょうど今は稲刈りの時期で、田毎の月と呼ばれる段々田んぼでは、農家の方々が忙しそうに働いていました。夜になって空にお月様が昇ると、水がはられた段々田んぼそれぞれにそのお月様が写ることからその名前が付きました。
急斜面にいろいろな形の田んぼが並んでいる風景は、山国である長野県ならではの珍しい風景です。今では田んぼを管理する人も減ってきてしまって、荒地になっている段々田んぼもあるという話を、現地の方からお聞きしたことがあります。日本のこういった美しい風景、大切に残していきたいなと思いました。
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