私たち「旅館」という文化も、いろいろな形が出てきました。
旅籠の昔からあった“となりの人の気配を感じながらも一つ屋根の下で過ごす時間の心地よさ”が、現代では「いかに自分だけの空間をパッケージできるか」という点に重きが置かれるようになりました。
「おもてなし」という言葉が、「サービス」という言葉にとってかわりました。
以前、石苔亭いしだスタッフ全員でバリ島へ研修旅行へ出かけたとき、アマンダリの支配人さんが、研修に訪れた私たちに「あなた達はここへ来る必要はありません。私たちの目指しているのはニッポンの仲居なんですから・・・」と、言ってくださいました。日本の旅館が持っている接客精神は、世界の目指すべきところだというのに、当の日本人は欧米のサービスマニュアルを欲しがっている。なんだかおかしなことが起こっています。
私たちは私たち自身をよく知らない。そして、自分自身のことをよく知らないことさえ知らない。このことがとても大きな問題だと思います。
つづく
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