ペナント滞在も残すところあと1日となった。昨晩は2班全員で夕食に出かけ、その後ホテルロビーにてスタッフミーティングを行なった。今回の研修旅行のテーマでもある「風」について話をした。
以前に石苔亭いしだの全体ミーティングで「日本では“有難うございます”の代わりに“申し訳ありません”という言葉を使うときがある」という話をしたことがあった。「申し訳ありませんが、○○をしていただけませんか。」「こちらこそ気が付きませで申し訳ありません。」という、日本人のいい意味でのもたれ合いの気持ちがその言葉の中にはある。
それは「アイムソーリー」であって「エクスキューズミー」であって「サンキュー」でもある魔法の言葉である。
サービスにおける「風」とは、お客様とサービススタッフの間に流れる「風」のことである。「申し訳ありません」という言葉を投げかけたときに、それを幾通りにも解釈する人もいれば、“アイムソーリー”としか解釈しない人もいる。その人に一番わかりやすくて優しい風を送ることができるのかが、日本のサービスの「粋」であるように思う。日本のサービスはミステリアスだと聞いた。世界でトップクラスのサービスであるにも関わらず、それをコピーしようと思ってもなかなかできない。
日本旅館のサービスを行なうときに、一番私たちサービスを提供する側が心に留めておかなけらばならないことは、相手からどんな風が吹いてきているのかを感じ、その風を優しく返すことができる豊かな心を持つことを、日頃から心がけているかということである。
スタッフミーティングではそんな話をした。
夜も更けているというのに、最後まで真剣に話に聞き入っているスタッフの表情が嬉しかった。
日本旅館のサービスに分厚いマニュアルは要らない。それはその対象が「申し訳ありません」という言葉にも幾通りもの意味を見出す日本人であるからだ。美しいものを美しいと感ずる心が、きっと日本人の心を育ててくれる。
日本では今日も雪が降っているのだろうか?あれほど寒い日本には帰りたくないと思っていた自分が、静かに雪が地表に降り積もる音に耳を傾けたくなってきている。
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