今日の日記は若旦那が書きます。
いよいよ本番の地元阿智高校の文化祭。私が担当した3年B組の和太鼓の舞台は文化祭の開祭式での発表でした。舞台の始まる2時間も前に体育館に自主的に集まって、細かい振りや掛け声の打合せをしている子ども達の目は、初めて子ども達に出会った頃とはまったく別のものになっていました。
思い返せば、練習の時に子ども達には、ずいぶん厳しいことを言ったと思います。
「どうせ、今まで頑張りとおしたことなんてないんだろう!!」
「これは太鼓ごっこだよ。お前達の文化祭も文化祭ごっこだろ!!」
「文化祭作りと太鼓の練習どっちも頑張っている?両方、中途半端だよ!!」
しかし、このクラスの子ども達は最後まで太鼓を打つことをやめませんでした。
私は「やる」ことと「やりぬく」ことは、大きくその意味が違うと思っています。私が教えた「虎落笛〜もがりぶえ〜」という曲は、初めてばちを持つ初心者にとっては、はっきり言って難しい曲でした。楽しみながらそれなりに仕上がる曲もたくさん知っていました。しかし、あえてハードルの高いこの曲をこの子ども達には選びました。それは、高校生活最後の文化祭に「やりぬく」ことの気持ちよさと、本当の達成感を感じてもらいたかったからでした。本番で太鼓が上手に打てたとか、間違えずにできたとか、そんなことは小さなことです。
一番大切なことは、自分達が望んだようになるために、いかに自分を鍛え上げて、いかに心を奮わせて、いかに仲間と力を合わせることができたかという事です。本番のステージはたった6分の舞台です。始まったと思ったらすぐ終わってしまう一瞬の出来事でした。「あれっ、こんなもんなの?」という感じです。だからこそ、その一瞬のためにそれまで何をやってきたのかが大切なんです。この子ども達の大半は来年、社会人として大人の第一歩を踏み出します。今よりも苦しいこと、悲しいこと、辛いことが、もっともっと待っている。だからこそ、学生である今このときに、子ども達に「やりぬく」ことの大切さを太鼓を打つことを通して教えたかった。私が教師だった頃に、私のクラスの子ども達に伝えてきたように、この3Bの子ども達にも「生きることの喜び」を感じて欲しかった。
リーダーの声は掛け声のかけすぎで枯れていました。前日怪我で腕を7針も縫った子どもが包帯をして舞台に立っていました。全員舞台から降りてくる時には汗がぽたぽた落ちていました。
きっと3Bの連中は、こんなちっぽけな太鼓だけど、最後までやりぬいたんだと思います。そして、こんな素晴らしい仲間がいたことにあらためて気づいたんだと思います。まだまだ日本の高校生!すてたもんじゃありません!バンザイ3B。よくがんばりました。