討論会のルールはいたって簡単。「小学生はお洒落をしていい」グループと「小学生はお洒落をすべきではない」グループに分けて、賛成と思う方に自分の椅子を持って移動するといったものでした。
「やっぱり、お洒落は大人になってするもので、小学生は小学生らしくした方がいいと思います。」
「小学生らしいってどういうことですか?」
冒頭から、私が子ども達にどうやって説明すればいいかわからなかった問題が、討論の柱となりました。教師から同じことを言われても子ども達は言い返しませんが、子ども達同士だとそこは容赦ありません。「小学生らしさ」を説明できなかったお洒落否定派から、男子がゾロゾロと移動を始めました。
「リップクリームやマニキュアを買えなかったり、買ってもらえない人もいます。そういう人が可愛そうじゃないんですか。」
「自分のお小遣いなんだからどう使おうと勝手だと思います。」
子どもながらにシビアな意見も出されました。
「先生なら茶髪にしていいんですか?」
「保健の先生は口紅を子どもの頃、塗ったことはないんですか?」
普段は教師に対して従うだけだった子ども達から、教師への質問も出始めました。
「このブリーチは俺が働いて買ったもんだからいいんだよ。」
大人の意見も子どもとそう変わりません。
「体の毛はね、大事なところに生えているのよ。頭を守るための頭髪、雑菌の侵入を防ぐための鼻毛、眉毛やまつ毛も目にごみが入らないように生えて、みんなの体を守っているのよ。まだみんなの体はしっかり出来上がっていないのよ。今は丈夫で健康な体を作らなくちゃね。」
この保健の先生の話は結構、子ども達の胸に訴えかけたようでした。
つづく
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