若女将の日記

全体ミーティング

今月は石苔亭いしだの年度末となります。今年一年間の実績が決まる最終月です。希望に満ちた新鮮な新年度を迎える為にも少し自分達の姿を振り返っていただき今を精一杯気持ちよく過ごしてもらいたいと社員の皆に願いを込めて言葉をかけました。若旦那からはこんな話もありました。「心の中の炎は今も変わらず燃えていますか？誰しもが何らかの期待や希望をもってこの職場へ来たはずです。心の中の炎が小さくなっているか、弱くなっているか、自分自身でよく確かめてください。消えてしまっている人は大変です。もう一度石苔亭いしだへ始めて訪れた日の心を思い出し火をつけてください。」皆本当にその通りだなと感じていたと思います。お客様が感動してくれた実感こそ自分達の幸せや充実を感じられる一番の近道です。旅館の仕事は不思議とのめりこめばのめりこむほど自分自身の人生のほとんどをかけてしまうことが容易です。その分、心に炎を燃やしていなければ人生のほとんどを空虚感のなか過ごす事にもなりかねません。本人達が気づかなければ、他力本願では解決しません。命の炎は自分で燃やしつづけるしかないのです。けれど表立って見せてはいけない私の心のうちは若女将として、もしも炎が弱くなっている人がいるとしたら責任を感じてしまいますね。あせってしまいますね････。とりあえず、そんな心配は消し去り、本日若旦那のお話しを力強い目で聞いてくれていたスタッフ皆を信じています。

初体験！茶懐席

昨日はスタッフ2人、若旦那と4人で信楽にあります壺中庵というところへ言ってまいりました。ここで茶懐席を体験しに出かけたのです。茶道という日本の素晴らしい文化を石苔亭いしだで生かしてゆきたいと以前から頭の片隅にはずっとあるのですがなかなか難しく考えてしまい、また日々の業務におわれてしまい手付かずでした。突然若旦那が興味を抱いてくれたのです。どうしてゆけばよいかはまだ未知ですが、まずはどういうものなのか体験してみましょうといってくれたのがきっかけです。壺中庵とは女将の代からご縁のあった方々がいらっしゃる所です。私もお茶についてはまだまだ未熟です、が今日は若い2人と主人が一緒でとても嬉しかったです。お茶の心は全てにつながります。私も最近になってお茶への興味が強くなってきました。それに旅館という商売を前面にだしながら人をおもてなしをするという仕事の中、社員を抱えて若女将としてたたなければならない見えないプレッシャーのなか、日々浮かんでくる私の煩悩を道理の通る中で治めてくれる何かがお茶の心にはあるような気がしているのです。今日の体験をどのようにいかしていけるかまだ私には具体的な考えは有りませんが若い2人に投資をし、成長していくだろう夢を抱けた事が素直に嬉しかったです。2人はどんな風に感じてくれたでしょう。これからが楽しみですし、私ももっともっと勉強しなければいけません。こんなきっかけを作ってくれた若旦那にあ・り・が・と・う！

山田シェフにお会いしてきました

第１回目の料理企画に力を貸してくださった中野シェフが今回ご一緒してくださいました。中野シェフとは前回のご縁で何度かお会いさせていただきその度にかわいがってくださるため先方の迷惑も顧みずついつい頼りにさせていただいております。その中野シェフがご一緒してくださるので下さる為心配はないものの、やっぱり緊張してしまいましたね〜。テレビで拝見させていただくそのままなのですが････とても楽しい方だというのがわかります。中野シェフも同じですが非常に研究心やいろんなものへの興味をお持ちになるパワーをかんじました。生きている事への責任をもっていらっしゃる方達、人としてとても魅力的です。主人に出会ったときこの人は生抜く力を備えた人だとかんじていました。それが結婚の決心に大きく影響していました。その主人と一緒になってから同じようなパワーをもつ方々におおく出会うようになった気がいたします。先日ロケでお会いした西城秀樹様もおなじです。すごいですね。自分の存在の小ささを感じてしまいます。しかしこうした出会いを財産に私も何かの糧にしていけるようにと強く願います。

山田シェフはせっかく長野の山奥へ行くのだから液体窒素？をつかって皆が驚いてくれるデザートをやってみよう。といってくれました。皆さん楽しみにしていてください。

東京へ行ってきます。

2月2日に当館にて行われます料理企画「匠の饗宴」の打ち合わせの為、今日と明日東京へ行ってまいります。イタリアンの山田宏巳シェフとの打ち合わせなのですが、私は山田さんとお会いするのが初めてなので、どんな方なのか今からとても楽しみです。また、若女将の日記にてお話したいと思います。

そんな楽しみな思いとは逆にとても心配な事があります。若旦那のどうしてもという希望で、先日若旦那が購入したワーゲンポルシェで東京まで行く事になてしまいました。

途中でエンジントラブルなどないだろうか・・・。

ヒーターはちゃんときくのだろうか・・・。

うるさいエンジン音の中が耐えられるだろうか・・・。

心配事が山積みです。とりあえず、JAFの会員カードを握りしめて、余裕を持った早い時間で旅館を出ようと思っています。

無事、帰ってこれることを皆さん祈っていてください。

それではいってまいります。

今年の紫宸殿の宴・・・。

今晩の「宴」は、法竹の児玉さんでした。

今年の新しい試みとして、これまで演奏が始まる前に行っていた、宴者の紹介や演目の紹介をいっさい行わない演出で、本日の宴は行われました。

ふれ回り太鼓が宴の始まりを告げながら館内を廻り、能舞台のあるロビーへ戻ってくるのと同時に、能舞台では舞台を清める為の儀式が始まります。そして法竹の音色がロビーに響きはじめる。演奏が終わりに近づくと、狂言で言うところの後見役の人が出てきて謡いをやったら終わり・・・・。

一切の説明を廃して、音と照明のみで演出をした今日の宴でしたが、それはそれなりに雰囲気があってよかったと思いました。

宴の後児玉さんと、「音」が水の中から、「ぬーっ・・・」と出てきてまた、水の中に「・・・とぽん。」と沈んでいく。見えなくなったけれど、水の中のどこかで音はまだ響いている・・・・そんな余韻のある宴の舞台にできたら素晴らしいですねと、夜遅くまで話し込んでしまいました。

ご紹介

今年私たち石苔亭いしだのスタッフ家族におめでたいことが重なります。もう皆様にはおなじみになりましたでしょうか、当館のフロントにおります脇田君に第2子が誕生予定です。そして、昨年フロントで皆様のお会計を担当させていただいていた松村さんにも第１子が誕生予定です。彼女は出産に向けて退職となってしまいましたが新入社員として迎えてからとても心強い戦力でした。不思議です。二人共、主人と私が旅館で働くようになってから当館に来てくれた新しい仲間です。今年に入り出産まじかの二人を見ていると、彼らの人生に自分達がとても深くかかわっていくような責任を感じます。彼らの生活が豊で幸せであることを心のそこから願っています。そのためには私たちの石苔亭いしだが豊で幸せな職場でなくてはならないはずです。そのために私のする事は････？時々「温泉へ行こう5」を見ながら自分と重ねてしまう事があります。でもこうして自分を取り巻く仲間に気づくと感傷に浸ってる暇などは私には贅沢な事なのかもしれません。同時に今になって会社を起こし守ってきた父親の人生が少し理解できるような気がします。今先頭にたって頑張ってくれている主人の心境が理解できるような気がします。私がしなければならないことは････？その答えは、私の周りにいる人たちがいつも笑顔でいてくれたとき見つかるような気がします。

脇田さんと松村さんの出産予定日は２月です。偶然ですが二人共1日違いなんです。私の予想では脇田家は女の子、松村家は男の子ですね。楽しみです。

下伊那の宴第3弾「木賊獅子」

明日は下伊那の宴第3弾、私たちの住む阿智村を代表いたしまして「木賊獅子」の方々の舞台があります。

普段、私たちが目にする獅子舞とはかわって、着物に獅子頭をつけた母親が子どもを抱いて演ずる舞台は、なかなか他では見ることのできない獅子だそうです。雪が降り積もって、シンと静まった夜に見る「木賊獅子」の舞台は、なんとも妖艶な雰囲気を醸し出してくれることでしょう。

明晩７：30開演を予定しております。外来のお客様でもご鑑賞いただけますので、どうぞおいでくださいませ。

お待ち申し上げております。

今回の茂山狂言は・・・・。

今年の「茂山狂言・春」は3月12日です。

演目は「鎌腹」と「濯ぎ川」の2演目に決定いたしました。いずれも亭主が嫁や姑に嬲られるといった内容のもので、どうやら茂山千三郎先生と若旦那がこの演目を選んだようです。

狂言のテーマは「わわしい女」ということで、わわしい・・・とは、やかましいという意味だそうです。特に「濯ぎ川」の男役を人間国宝の茂山千作先生が今回演じられるということで、普段はなかなか見ることのできない千作先生の情けない男の演技は必見です。

配役は以下のとおりです。

解説（茂山千三郎）

鎌腹　　男　　　茂山千五郎

　　　　女房　　茂山逸平

　　　　仲裁人　茂山　茂

　　　　後見　　井口竜也

濯ぎ川　男　　　茂山千作

　　　　女房　　茂山　茂

　　　　姑　　　茂山千三郎

　　　　後見　　井口竜也

是非、ご覧なってください。

※今年度から春・秋1公演ずつとさせていただきます。

一面の銀世界

今朝目がさめると深々と降り積もる雪に驚きました。とても静かで、美しい世界です。見慣れた景色が別世界のように感じられる事もなお不思議です。特別意識はしていなかったつもりでしたが、おばあちゃんの亡くなった事実が現実と結びついてきます。今朝の雪の効果でしょうか？寂しさもあるのですがとても穏やかな静かな感覚を受けました。新しい一日の始まりです。とても清らかなスタートです。今日が私の新年のスタートのように感じます。今年は昨年よりもう一歩「強く素敵な女性に成長したい」「一年毎自分の成長を実感していきたい」女は、私たちは自分の意志と自覚で誇り高く一生を終える事ができることをおばあちゃんの最後から感じました。おばあちゃんほどは強くなれないかもしれませんが、近づけるよう努力してみよう。

おばあちゃん

1月8日14時29分。おばあちゃんが死にました。

病院のベッドで癌と闘いながら、最後まで弱音をはかずに一生懸命がんばった立派なおばあちゃんでした。

今年の初め病院へお見舞いに行ったとき、「腰が痛いな。」と言いながらも、

「正しいことをしていれば間違いない。よく旅館に戻ってきてくれた。みんなで力をあわせて幸せにならないといけないよ。」

と、何度も何度も私の手を強く握りかえしながら話してくれたおばあちゃんでした。

何年ぶりかに親戚一同が集まった通夜・告別式・・・。おばあちゃんの思い出話で時間があっという間に過ぎていきました。おばあちゃんは自分の思っていることをはっきり言う女性だったとか、おばあちゃんがやっていた食堂は説教されるから怖かったとか、口をついて出てくる話はおばあちゃんの女傑ぶりばかりでした。でもどれだけおばあちゃんの言葉に勇気付けられ、生きる姿に背中を押されていたかが、集まってくれた大勢の人たちの寂しげな表情から感じることができました。

「生き抜く」とは、自分の命の灯が消えても、なおみんなの心に生き続ける私のおばあちゃんのような生き方のことをいうのだなと思います。

そして私がおばあちゃんのことをいつまでもいつまでも忘れないでいることが、なによりおばあちゃんがこの世に生きていたことの証になると思いました。

私もおばあちゃんのような生き方をしたいと強く思いました。