素敵な感動をいただきました。
ご朝食を終わられたお客様が、私をお部屋に来るようにとのお呼び出しがありました。
私は、「あー・・・・何か不手際があったかな?」
と、半ば「ふーっ」とため息が出てしまうような思いで伺いました。
すると、お仲間の皆さんが集まり、布団をどけて集まっています。
「おー、来たか、来たか!まーこっちすわりゃー」
とお呼びになります。
すー、っと栗の和菓子が出てきました。
そして、その先ではポットのお湯で「シャカ、シャカ、シャカ」と音が聞こえると
なんと、お抹茶が出てきたのです。
「皆で食後のお茶をしてるのよ。女将さんもどうぞ」
といって差し出してくださいました。
本当に美味しかったです。
そして、涙が出るほど嬉しかったです。
20歳後半になってからというもの、女将の母は引退し、同時に結婚し、若女将=女将と呼ばれるようになってから、お客様の近くに触れる機会というのがぐっと減ってきていました。
お客様に名前を覚えていただいたり、私自信、お客様の特徴やご家族の様子を深く知るということは現場の皆と一緒になっていた頃の話です。正直、一緒になってルームをしたり、フロントをしていた頃が、一番楽しかったです。
ですから、こんな風に私に声をかけてくださり、仲間に入れてくださったことが、
「あー、私もお客様の側にいるんだな」
ということを実感することが出来た時間でした。
また、日頃からお客様は今日の私よりももっと、現場スタッフにたしてこのように近くに置き、娘のように優しくお声をかけてくださっていることを知りました。
本当に感謝と、有難うございます。
の言葉でいっぱいです。
こうした感動をスタッフが日頃から感じてくれながら毎日を石苔亭いしだで過ごしていると思うと、更に嬉しく、私の考えである
「お客様に一番近いのは、前線にいるスタッフ達であるべき」
も間違っていないと安心することが出来ました。
お客様の思いを、女将一人が受けていては絶対ダメだと思っているんです。
汗も流し、お客様のことを思いながら給仕をし、仲間と力をあわせて毎日を過ごしている現場スタッフこそが光りを浴びなければならない事です。
女将はあくまでサポート的立場と何かあったときの特攻隊長です。