日本太鼓連盟副会長で御諏訪太鼓流宗家家元、小口大八先生が27日、交通事故で亡くなったとの連絡があった。
今から15年前。私が勤務していた岡谷市の神明小学校の教師をしていた頃、学校からの推薦で長野県主催の「青年の船」という海外研修に参加させてもらった。その際の岡谷地区のアトラクションとして選ばれたのが「御諏訪太鼓」の「飛龍三段がえし」という小口大八さんの曲だった。私が始めて太鼓というものに触れ、バチを握ったのはこの時であった。
御諏訪太鼓の小口大八先生の道場は神明小学校のすぐ目の前だったため、地域のお祭りを教育の中核活動としていた私は、岡谷太鼓祭りにクラスで参加することを決め、その年の夏にはクラス全員で和太鼓で祭りのステージに立った。なにか困ったことがあって道場を訪ねると、いつものしわがれ声と舞台の時とは違った優しい笑顔で、親切にアドバイスや励ましの言葉をかけていただいたことを今でも覚えている。
南信州で旅館の経営をしている今でも、時々道場を訪ねると奥から顔を出してくださり、私に「逸見先生、頑張っているかな。」と、笑いながら声をかけてくださっていた。晩年まで和太鼓普及のために全身全霊を傾けられた小口大八先生の功績は計り知れないものがある。今日のお通夜に駆けつけた弔問客の列がご自宅の庭の外まで長蛇の列となっていた。
多くの人の心に太鼓の響きと感動を刻み付けた小口大八先生の心からのご冥福をお祈りいたします。
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