若女将の日記

天空の村

今日、お客様にご提案する新しい旅行コースのひとつとして、霜月祭りで有名な上村という地区をお客様にご紹介できればと思い、視察に行ってまいりました。同じ霜月祭りでも4つの地区でそれぞれ違った面をかぶったり、舞い方が違ったりと特色が異なります。今日はその中でも、朝方までお祭りを行なうことで有名な下栗地区のへ行ってまいりました。

険しい山道をひたすら空を目指して登っていくと、目の前に真っ白い頂の聖岳が見えました。まるでこの世のものとは思えない景色に息を呑みました。この下栗という地区は、急傾斜地に人家が点在しており、まるで雲の上に住んでいるような錯覚におちいるようなところでした。

車がすれ違うこともできないような細い道を通っていくのですが、その道のすぐ脇が断崖絶壁だったり、ガードレールがなくその先が大きく落ち込んでいたりと、一時も気の抜けない道を通りながらも、その山並みや村の景色についつい心を奪われてしまいました。

途中で山菜などのお食事を出していただける民宿や、毎年、霜月祭りがおこなわれる拾五社神社などもあったりして、見所もたくさんありました。

空に一番近いこの「天空の村」に、お客様をお連れできたらと思いました。

年末の大掃除�A

今日の大掃除の中で、一年間お世話になった能舞台の清掃を行いました。すすはらいをしたり、舞台を隅々まで拭いたりしました。一番大変だったのが、能舞台の白石を全部かき出して、洗浄を行なったことです。

毎日、細かいごみや埃などを取ってはいますが、なかなかこういった機会でなければ、石を全部出して洗浄するわけにはいきません。大きなプラスチックのケースに50杯以上かき出された石は、庭で水洗いされました。

一日がかりで洗浄された白石が夕方、また能舞台の回りに戻されました。舞台の隅々まで綺麗になって、いつもより凛とした表情の能舞台「紫宸殿」でした。

年末の大掃除

年末恒例の石苔亭いしだの大掃除が今日と明日の2日間行なわれています。天井のすすはらいや、障子の張替えや、屋根の上の清掃など、日頃できない場所の清掃を、社員全員で行います。

一年に一度の大掃除には、社員の親睦の意味も意味も含まれております。違ったセクションのスタッフがひとところに集まって、和気藹々と仕事をすることも、一年間、お世話になった旅館を感謝の気持ちを込めて綺麗にするのも、この大掃除ならではの雰囲気です。

今日のお昼は「炊き込みご飯」でした。いつもですと、手があいたスタッフから時間を見つけてお昼を取ったりするのですが、今日はスタッフ全員が食堂に集まり、ワイワイ賑やかな中での食事となりました。

大掃除が終わるとお正月までまっしぐらです。

全体ミーティング

本日、12月の全体ミーティングが行なわれました。若旦那から来年の石苔亭いしだの方向が発表されました。来年の石苔亭いしだは、より「日本旅館」としての輪郭をはっきりさせていくということでした。

日本らしさと一口で言っても、昔から大陸や欧米の文化に憧れを持ち、常に異文化を巧みに取り入れてきた日本という国にとっての「日本らしさ」とは、ごくわずかなものだけなのかもしれませんが、あえてそれをサービスパフォーマンスの域まで構築していくという話でした。

いろいろな方針が示されましたが、その中で、昨年同様、社員研修旅行として、1月〜2月にかけての海外研修旅行の発表もされました。行き先は、前回と同様「バリ島」です。世界から日本を眺めることで、日本の素晴らしさや日本の文化性や日本人の精神を学ぼうという目的です。

来年に向けてすでに石苔亭いしだは少しずつ動き出しています。

清内路村の姿見の滝

今日、石苔亭いしだから車で10分ほど行った所にある清内路村の「不動 姿見の滝」に若旦那に連れられて行って来ました。この滝は以前にも日記の中で、若旦那が滝に打たれたとか、滝の水しぶきが気持ちいいとかいう内容で、ご紹介させていただいている滝です。

実は、この滝の正面に現在、滝見台が作られています。4畳半ほどの広さの滝見台ですが、そこからは滝の前景が一望できるばかりか、周りの山々の緑も綺麗に見渡すことができます。若旦那からこの場所で昼席や夕席ができないかという提案がありました。

旅館からお弁当をケータリングしたり、板前が出張するなどして、この滝の景色を眺めたり、美味しい空気を吸ったりしながら食事を食べていただくことができたら、それは石苔亭いしだとはまた違った、素晴らしい時間と空間をお客様に提供できるのではないかという話でした。

時々、若旦那はとんでもないことを平気で言います。しかし、それがひとつひとつ確実に形になっていく今までの様子を見ていると、来年の夏くらいには、この滝見台でお食事をしている方々が、もしかしたらいるのではと思いました。

注連縄飾り

今日はお日柄もいいということで、石苔亭いしだの玄関前に注連縄と門松を飾りました。注連縄が飾られるとお正月気分がぐっと高まります。

「♪〜もう　いくつ寝るとお正月〜♪」

と口ずさみながらカレンダーで残りの日を数えてみますと、今日を入れてあと16日しかありません。今年やり残した事のないように一日一日を過ごしていきたいと思っております。毎年この時期になると、スタッフの食堂に、大掃除の計画やお正月の準備の一覧表が貼り出されて、それをひとつひとつ消していきながら、石苔亭いしだのカウントダウンが進んでいきます。

今月の幹部会議

12月の定例幹部会議が本日行なわれました。今回の幹部会議では、来年度の石苔亭。いしだの方向性が若旦那から語られ、スタッフの更に強い決意とチームワークが必要だという話がありました。

いつになく厳しい雰囲気の会議でありましたが、若旦那から次のような話がありました。

「自分はこれだけのことをやったとか、こんないいアイデアを出したというレベルで満足しているのではないか？いくら頑張っても、それがお客様の喜びにつながらなかったり、自己満足で終わっていたら何の意味もない。あえて“結果”にこだわれと言いたい。自分のできる範囲で動いてみて「頑張りました。」などと簡単に言うな。自分に越えられない壁が目の前に立ちはだかることはない。頑張って手を伸ばせば越えられる壁ならば、あえてその壁に爪を立てて登ってみろ。その時に、人間は大きく成長し、自分にはこんな力もあったんだと気付かされるものだ。」

この日、会議に出された新企画のほとんどが通りませんでした。担当者が会議で熱く語ることのできない企画などが、お客様の心に届くはずがないという理由でした。

幹部達の目の色が今日の会議は違いました。この目つきが来年の石苔亭いしだを予感させている気がしました。

二胡と書の夕べ「月天心」

今日は「月天心」という季節の言葉をテーマにして、二胡のうみたこさんと書道家の中塚翠涛さんのコラボレーションによる「紫宸殿の宴」が行なわれました。二胡の調べにのせて、中塚さんが筆に思いをのせて紙の上に表現していきます。

心地のいい二胡の音色と、紙の上を走る墨の線が一緒になったとき、そこにこれまでに体験したことのない、豊かな時間と空間が実現しました。わずかに聞こえる紙と筆が擦れ合う音さえも、曲の一部であるかのように聞こえてきました。

宴の中で詠まれた詩を紹介します。

月天心

ひときわ　天高く輝く　冬の月

天心とは　天の中心のことを言う

月が　あたかも　天の中心にいるように　見えるからであろう

天心には　天の心という　意味もある

冴えわたった　空の光が　温かな眼差しで　私を見下ろしている

ふと　足を止め　冬の空を見上げてみると

月と地球の中心を結ぶ一直線上に　自分が　立っている気がした

月天心・・・私も宇宙の一部だと　そんな　小さな気付きに　心が揺れる夜

月はなおも　空の中心から　たおやかな眼差しで　私を見下ろしている

車炎上

東京へ出張に行っている若旦那から写真付きのメールが届きました。

見ると車から白い煙を出している写真です。東京出張からの帰りに中央高速道路の談合坂サービスエリアで休憩を取ったところ、車のエンジンルームから白い煙が出てきたと思ったら火が出て、10分もしないうちに運転席まで火が回ったそうです。10台ほどの消防車・パトカーがかけつけ、野次馬も集まる中、車は四方から水をかけられて、同乗者も含めて一人も怪我なく、無事鎮火となったようです。

若旦那は「怪我がないならこれも経験の一つだよ。」と言ってはいましたが、もし、サービスエリアに寄らずにそのまま走行していたら、どうなっていたかと考えるとゾッとしました。

乗っていた車は車検に出している車の代車だったようですが、十分、点検をした車を出してほしいものだと思いました。怖いコワイ・・・。

陶器と漆器が一つになった

先日お話をいたしました、陶器の表面に漆を塗る技法「陶胎〜とうたい〜」で作ったお皿の見本が出来上がりました。今回、お力とお知恵を貸していただいたのは、ネオジャパネスクの文化提言イベントで、勾玉型の漆器盆を制作してくださった、木曽の漆器「ちきりや」の手塚さんと、石苔亭いしだでもお世話になっております食器メーカー「ノリタケ」の中島さんでした。

専門的なことはよく分りませんが、今回、このサンプルを作るのには、たくさん解決しなければならない問題点があったようです。いくつもの失敗作の末に完成した今回のサンプルのお皿は、見事に食器の使いやすさと漆の肌触りが融合した素晴らしい作品でした。このサンプルを基に、これからいろんなバリエーションの食器が出来上がるかもしれません。

夢の広がる新しい製品が、今日、誕生しました。