6月10日から石苔亭いしだで行なわれますNACS(長野県顧客満足度調査委員会)主催の展示会において、作品提供をしていただくことになった山野草作家の唐木さんと木曽漆工芸のちきりや手塚さんとの打合せに、それぞれのご自宅へお邪魔させていただきました。
最初は唐木さんのお家でした。庭いっぱいに生き生きと生えている山野草の眺めにまず言葉を失ってしまいました。立派に剪定された日本庭園とは違った、そこにいるだけで心が解きほぐされるような、とってもあったかな庭でした。打合せにお邪魔したのですが、話も忘れてただただ庭を眺めて時間が過ぎていったように思えます。
庭を唐木さんが一緒に歩いてくれて、ひとつひとつ咲いている花の名前を教えてくださいました。日頃は何の気なしに見落としてしまう山野草ですが、腰をおろしてよく見ると、花びらの形や色や、咲き方がそれぞれ違うことに今さらのように気づかされました。唐木さんの優しいお人柄も、きっとこんな幸せな草花と一緒に時間を過ごしていらっしゃるからなのだろうと思いました。
新しくできた権兵衛トンネルを抜けて、午後はちきりやの手塚さんのご自宅にお邪魔しました。何百年も前からずっと漆の村として栄えてきた旧中山道の職人さんの村です。バイパスからちょっと旧道に入るだけでこんな風情のある町並みが今でも残っていたんだと思うどこか懐かしい町並みでした。
手塚さんのご自宅の玄関には、代々続いた五月飾りが飾られていました。奥の部屋の格子の窓からは、歴史の重さを感じさせる離れの家屋や三連の土蔵が見えました。部屋の中は現代住宅と比べるとずっと照度が低く暗い感じがしましたが、なんとなく小さい頃、親戚が大勢集まっていたおじいちゃんの家を思い出す懐かしい雰囲気でした。
唐木さんと手塚さんとのお打合せの中で、いずれも
「信州には信州でしかできないことがある。」
というお話をお聞きしました。信州にしか咲かない草花、信州でしか出せない緑、信州にしかない歴史、そこで培われた技術・・・。お二人が、しっかりこの地の素晴らしさを肌で感じて、それをご自身の生活に取り込んでいらっしゃるごく自然な姿に、いたく感動しました。今まで以上に信州が好きになれた・・・そんな気がした一日でした。
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