茂山狂言の中でも茂山千五郎家のお家芸とも言われています伝説の狂言「唐相撲」があります。あらすじはいたって簡単。日本の相撲取りが唐人たちと相撲をとり、次々に負かしていくというものなのですが、その登場人物や衣装、そして言葉がこれまでの狂言の概念を覆すものです。
登場人物は総勢40名余り。これだけでも凄いのに、日本人一人を除いては皆唐人服を着ており、赤や緑や金といった極彩色の服で、能舞台は豪華絢爛な舞台に生まれ変わります。
話す言葉と言ったら、所々に「かしこまって候」とか「いいやぁ〜 えい」という狂言独特の言い回しが出てくるものの、ほとんどはでたらめな狂言中国語です。「チンプルポー!」「ラッパイス!」「ダイサンゲンドラドラ!」ほとんど学芸会のノリと言いますか、現代のコントを見ていると言いますか、とても狂言を見ているとは思えないものです。
しかし、この狂言はすでに昭和9年には出来上がっていたと言うのですからびっくりです。現代人にも素直に見て笑える狂言がもう今から70年以上前に出来上がっていたことにも驚きですが、古いものを見ているというよりはとても現代風でかえって新しさまで感じてしまうその舞台に感動しました。
茂山狂言は、別名「お豆腐狂言」と呼ばれています。お豆腐のようにどんな味にも染まり、とっても柔らかい狂言という意味だそうです。
ホント、この「唐相撲」はお豆腐狂言の茂山家だからこそできる秘曲中の秘曲だなと思いました。DVDも出されていますのでどうぞご覧になってくださいませ。
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