私が小さい頃は、小学校の帰り道「お水くださ〜い。」と言えば、お水をもらえるところが下校途中に何ヶ所かありました。
公民館などの水道もありましたが、一般の方の家の水道を使わせていただいていたのがほとんどです。「ここんちの水はおいしい。」「この家の水道は冷えている。」などと、どれも同じ水道水なのに、子どもながらにそれなりのこだわりを持っていたような気もします。
人気のある水道があるお宅に行くと、必ず3〜4人の人が並んでいました。そんな人気の水道のところには、必ず蛇口にベコベコに凹んだアルミのコップかなんかが紐に結ばれてぶる下がっていました。きっとそこの家の方が私たちのために下げておいてくれたものだったのでしょう。
水道の水をいただく前には、誰が見ていようと見ていまいと「お水ください。」と言ってから飲み、飲み終わると次の人のためにコップを洗って「ありがとうございました。」とお礼を言うのが、私たちの通学路での暗黙のルールでした。
先日、知人との話の中で、そんな昔の登下校の時の話になったとき
「最近では、学校でも人の家の庭に入らないように指導がされたり、公民館からも苦情が行くらしいから、昔のようにはいかないね。」
という話を聞きました。
今考えると、昔、私たちがお水をいただいていた家の水道代は、もの凄い金額になっていたことと思います。しかし、私たちはその水道の水を飲ませていただくことで、のどの渇きをいやさせてもらったばかりか、いろんなことを学ばせてもらっていた気もするのです。
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