今は木造の建物の維持管理が難しい時代になってきています。
毎年防火設備や避難設備の定期点検を行っていますが、そのたびに木造建物のよいところ、悪いところの知識が増えます。
今回は建物の定期調査が入り、今後の対策としての指導が入りました。
石苔亭いしだは敷地面積が約3000坪あります。
現在の建築法では、木造建物1つとしてみた時にこの規模の木造建築は認められないそうです。
そのため、石苔亭いしだも4棟程の別棟扱いにされて、登録をしてきているようです。
しかし、大規模な火災事故が日本で起こるたびに法律が厳しくなり、そこに適合していくよう対策を立てて行かなければならないのです。
例えば、
「大浴場の入り口に防火戸を設置してください!」
「廊下の屋根と壁を取り払ってください」
「その際には、外壁を対価構造のものに変更してください」
などと、言われてしまうのです。
今年、石苔亭いしだを設計してくださった竹村寛市先生がお亡くなりになられました。
相談できるところを新たに探さなければなりません。
でも、内心穏やかではありません。
現在の建築法に従っていたら、日本らしい情緒ある建物はなくなってしまいます。
ヨーロッパが「文化の国」といわれ、美しい町並みが残されているのは何故でしょ?
日本は「日本の美しい形や文化」を後世につなげてゆこうと言う考えは無いのでしょうか?
時代と共に、現代人の生活スタイルにあっていないと不便だから・・・・
高齢者の方が増えてゆくから、それにあわせた形にして欲しい・・・・
という考えが湧いてきます。
お客様からのご意見でも、飛び石は足元が危ない!
大浴場や廊下に手すりが欲しい!
といったご意見をいただきます。
私達も、「確かに・・・・」
と思い、何かほかの形を考えては行くのですが、
全て安全と便利さを求めてしまうと、情緒さがなくなります。
そこを防ごうと、それらしく見せると、木目のプリントのあるクロスだとか外国産の材木だとか
本物から遠ざかってしまいます。
本物を使わなくなったところから、深みがなくなり空気が壊されます。
本当に智恵とお金が必要です。
しかし、安全は大切です。
お客様のお声に耳を傾け
もっともっと、深く考え、対策を立てていきたいと思います。
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