朝からの晴天に恵まれ、今回で3回目となります「早座祭り」が、南信州ケフィアランド伊那谷道中にて開催されました。
ふるさと広場には特設の能舞台が設置され、茂山千三郎先生から狂言を習っている長野県社中の皆さんが、狂言の舞台を繰り広げてくださいました。小さなお子さんも狂言の衣装を身につけ堂々と台詞を言っている姿に、会場から大きな拍手や声援がおくられていました。年々、長野県社中の皆さんの狂言が確実に上達していて、最初の頃は台詞忘れがないか心配しながら観ていましたが、今回は安心して狂言を観ることができました。若旦那と加藤木さんの演じた「寝音曲」も、会場から大きな笑い声が絶えずおきていました。
阿智黒丑舞は伊那谷道中の各店舗を回りながら、大きな口で会場内の皆さんの頭を噛んで歩いていました。黒丑舞の頭がグ~ッと持ち上げられると見ている方から「ワ~ッ」という歓声が上がり、黒丑舞の行く先々はどこも人が大勢集まっていました。今日は初夏のような暑さでしたので、丑舞の中に入っている舞い手の方々はさぞ暑かったと思いますが、お客様の喜んでいる顔を見ると、ついついいつもより大きな振りやかけ声で演じてくれているようでした。
霜月祭り保存会の程野地区の皆さんの神楽舞いは、その動きの美しさやピンと張り詰めた空気に、何百年も受け継がれてきた伝統芸能の重さを感じることができました。雰囲気のある太鼓の打つ音に、地元の方々特有のかけ声や合いの手が入り、それが夜通し行なわれる霜月祭りの情景を思い起こさせてくれるようでした。なかなか上村で行なわれる霜月祭り以外では見ることのできない伝統の舞いに、観ているお客様もその舞いに釘付けになっていました。
会場の2箇所にそれぞれ塩原良さんと加藤木朗さんの和太鼓のブースが設けられ、一日中、太鼓の音が鳴り響きました。遠くは愛知県や岡谷市からもこのお祭りに駆けつけてくださっているチームの方もいて、いろいろな打ち方や曲に惹きつけられました。参加された皆さんもお客様に混じって、お互いの演奏を見ながら和気藹々とした中で自然とチーム同士の交流がはかられていました。こうした交流も早座祭り独特の風景として定着してきました。
いよいよクライマックスの総勢250名参加の大オペレッタ「伊那谷道中早座風流~いなだにどうちゅうさくらふりゅう~」は、各芸能ブースで体験ワークショップとして練習した ものを、ひとつにまとめて舞台にするという未だかつてない試みでしたが、狂言「木賊」のあらすじを軸として紹介される南信州の伝統芸能というストーリーに沿って、それぞれの芸能が上手にひとつの劇となっていたと思います。
能舞台上では、太郎冠者と主人の役の子ども達が大きな声で狂言の語りをしたり、重い黒丑舞の頭を子ども達が力を合わせて持ちながら舞いをしたり、霜月祭り保存会の皆さんと子ども達が一緒に舞台で扇子と鈴をもって神楽舞いを披露したりしました。最後は出演者全員で和太鼓の響きに合わせて舞いを舞ったり、餅投げをしたりと観客の皆さんも撒き込んだとても華やかなフィナーレで早座風流は終わりました。
最後に出演者、観客の皆さん一緒に、伊那谷道中の中にある「水晶宮」へ参拝をして、今年一年の南信州の里人や早座祭りに参加された皆様の「無病息災」「家内安全」「満願成就」を祈りました。今回の祭りのプロデューサーでもあった若旦那が目指していた出演者とお客様が一体となった舞台という意味が分かったような気がしました。今回から新しいチャレンジとして始まった体験ワークショップも、早座風流という形で発表できたことで、また次につながっていく新たな一歩となったような気がしました。
今回、この祭りを開催するにあたって、御力を貸していただいた全ての皆さんに、心から御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
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