約三ヵ月間、石苔亭いしだの能舞台に飾られていた吊るし飾り、壇飾りなどの雛人形が、その期間を終え片付けられました。展示期間ご宿泊のお客様以外で、ご来場いただきましたのは延べ2500人にも達しました。多い日には一日で300人以上の見学のお客様がいらっしゃった日もあります。
当初はこの雛飾りはご宿泊のお客様だけに・・・といった声もあったのですが、
「不況・リストラ・政治不信・・・と暗いニュースばかりが目立つ中で、私たち旅館が世の中に少しでも明るい話題を提供しなければならない。」
という若旦那の一声で、石苔亭いしだ始まって以来初のロビーの無料開放となりました。
この三ヶ月間、地元の皆さんがご家族で見学に来てくださったり、一度見に来られたお客様がまた友人を連れて見学に来てくださったり、わざわざ噂を聞きつけて何時間も車を走らせて見に来てくださったりしました。そしてご来場くださった皆様、一様にお雛様を見て笑顔で帰っていかれました。
展示期間を追え振り返ってみますと、この二千体雛飾りは、単に能舞台を華やかに彩っただけではなく、これだけ多くの方々と私たちとを結び付けてくれたばかりでなく、なにか心に温かななにかを残してくれたような気がします。今日は夜遅くまでスタッフ全員が残って、三ヶ月間のお勤めを果たした雛人形達を、一体一体大切に梱包して箱にしまいました。
なにも飾られていない能舞台を見て、あるスタッフが「なんか引越しの後の部屋みたいだな・・・」とつぶやいていました。なんとなく祭りの後の寂しさみたいな空気が能舞台を包み込んでいました。また、来年の春が来るのを楽しみに待ちたいと思います。
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