12月~3月1日まで行なわれております昼神温泉郷の冬の行事「昼神の御湯」ですが、そろそろ折り返しの時期が近づいてきました。3ヶ月に渡って行なわれますこの「昼神の御湯」は、毎晩、湯屋権現神社の氏子である各旅館の人が当番で、各旅館の玄関先に祀られております湯屋守様にお酒を手向ける「夕御饌の儀~ゆうみけのぎ~」を行ないます。
石苔亭いしだの玄関先にある湯屋守様
※ドラマ「温泉へGO!」で実際に使用された湯屋守様です。
先日、地元の信濃毎日新聞社の方が取材に来ていただきました。1月11日の朝刊に記事として掲載していただけるそうです。この時期は、昼神温泉郷を冷たい風が吹き抜けるため、毎夕近くかけて行なわれる「夕御饌の儀」はとても大変です。
各施設の玄関先の湯屋守様に献上されているお神酒の入った酒器のふたを開け、氏子が湯屋守様に祝詞をあげます。旅館は全部で20軒近くありますので、全部回るのに1時間近くかかります。氏子の皆さんの着替えは、石苔亭いしだの客室にて行なっていただいているのですが、儀式が終わって帰ってくる頃の氏子の皆さんは、体の芯から冷え切った表情をしています。
なぜ、そこまでして毎晩儀式をやらなくてはならないのか?
よく、地元の名物を作るためだとか、温泉郷のブランド作りのためだという話も出てきますが、若旦那が考えていることは、もっと別なところにあります。
それは「自分以外のものに対して【感謝】する心」です。
この「昼神の御湯」という行事は、私たちが恩恵を授かっている「お湯」に感謝の心をあらわす為の神事です。中にはパフォーマンスだという人や、形だけで気持ちはどうなんだという人もいるかもしれません。しかし、三ヵ月間、来る日も来る日もこの儀式をおこなっていることは、まぎれもない事実です。
狂言では、とにかく最初は「型」を覚えさせられます。自分なりの解釈やこだわりよりなにより、まずは「型」を覚えないさいと教えられます。それはその狂言の「型」自体が、650年以上の歴史の中で、すでに淘汰されたカタチであり、普遍なものとなっているからです。
現在、昼神温泉郷で行なわれている「夕御饌の儀」は、阿智神社の神主さんにそのやり方を教えていただいた正式なものです。私たちは、現在この儀式を通して、自然や人に感謝をする心を養う「型」を学んでいると思っています。そうしているうちに、少しずつ少しずつ私たちは、「神ぐ和しの里プロジェクト」の本質である【感謝する心】を、取り戻していけるのだと思います。
昼神温泉郷の「夕御饌の儀」は、毎日夕方4時~5時の間、昼神温泉郷のどこかで見ることができます。どうぞお近くにお出での際にはご覧くださいませ。一緒に参加していただいても構いません。お待ちしております。
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