9月3日から始まりました栗矢の無礼講ですが、いよいよ今晩で最終日となりました。最後は出演者総出演による「大神楽」が奉納されました。
和力・木賊狂言・銭太鼓・あゆみ太鼓・華樂と、この1ヶ月間、毎晩この無礼講に華を添えてくださった出演者の皆さんによる、笛や太鼓の練り込み行列で今宵の無礼講は幕を開けました。150人を越える観客の皆さんから、大きな拍手が湧き上がりました。
それぞれの見せ場ばかりをメドレーでつないだ舞台は、その度に会場を歓声や笑い声で包みこみました。最後の出演者全員による「ぶち合わせ太鼓」では、地元の小さな子どもから年配の方々まで出演者の全員が舞台に上がり、迫力の演奏を披露してくださいました。
この1ヶ月、栗矢神社にお出でくださる皆様方の感想を聞いてみますと、皆様、とてもいい笑顔で「こんな素晴らしいお祭りに参加させてもらって本当に幸せです」とおっしゃっていただけます。昼神温泉やこの村でも数々のイベントやお祭りや行事等がありますが、こんなに参加されたお客様が喜んでいたけるものは、今まで見たことがありません。
この栗矢の無礼講に、私はこれからの観光のあり方の重要なヒントがあると思っています。それは、主催者側が一方的に与えるものではなく、参加されるお客様や、地元の方々、すべてが喜ぶことができるお祭りだということです。栗矢の無礼講は、毎晩、栗矢地区の皆さんが1時間も前から神官役や下準備で参加してくださいました。ある方が無礼講が終わった後、こんなことをおっしゃっていました。
「最初は神社に行くのが面倒くさかったけどな、今じゃ夜になると神社に行きたくてしょうがなくなっちゃうんだよな。」
「そうそう、明日からもうこのお祭りがなくなると、夜寂しくなるよなあ。」
栗矢神社にはこの1ヶ月で延べ2,500人の方々が訪れてくださいました。なぜ、皆さんがこの無礼講に感動していただいたか?それは、太鼓や狂言の舞台を観ることができたこともあったでしょうが、それ以上にこの栗矢の里の皆さんが、この地を訪れてくださる観光客の皆様を、心から歓迎してくださって、自分達もこのお祭りを心の底から楽しんでくださっていたことだと思います。そこに、今は忘れかけられている故郷への郷愁や、懐かしい日本の風景があったのではないかと思うのです。
1ヶ月の無礼講が終わり、栗矢の回り舞台では夜が更けるまで、栗矢地区の皆さんと温泉施設のスタッフがお酒を酌み交わしながら、このお祭りを振り返りながら、来年の無礼講での再開を誓い合っていました。
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