本日、名称も新たになりました京都茂山狂言会によります定例狂言会「オモテナシ狂言」が、石苔亭いしだ能舞台「紫宸殿」において行なわれました。ご高齢にもかかわらず毎回ご出演いただいております茂山千作先生の「鬼瓦〜おにがわら〜」は、さすが人間国宝による舞台といった感じで、千作先生の表情、声の張り方、味わい深い所作に魅了されましたひと時でした。もうすぐ90歳を迎えられるとは思えないほどの迫力ある舞台上の動きに、鑑賞されたお客様からのアンケートでも「千作先生のお元気な姿を今年も拝見して元気付けられた」「一年に一度、この千作先生の舞台を見ることがとても楽しみです」などのご意見が多く寄せられていました。
続いての演目「木賊〜とくさ〜」は、私たちの住む阿智村を舞台とした地元狂言で、昨年、瀬戸内寂聴先生によって復曲され、茂山千三郎先生によって舞台化されたものでした。台詞の中には、
「園原、伏屋、帚木、更級、姨捨山に田毎の月と、見所多く、あれよあれよという間に、はや善光寺にたどり着きました」
「園原に立ち寄りましたれば、村にはひとっこ一人おらずしーんと静まり返っておりました」
などの、地名もふんだんに盛り込まれおり、鑑賞に来られていた地元のお客様には、狂言をとても身近に感じていただけた演目でした。太郎冠者役の千三郎先生がのっぺらぼうの面をつけ、片手に木賊を持ちながら「頭の毛も消えまする こすらせられい こすらせられい…」と言いながら、主人を追いかけていくところでは会場中から大きな笑い声が湧き上がりました。
今回特別に長野県社中も出演しての「首引〜くびびき〜」は、鎮西役以外は皆さん鬼の面を付けている見た目だけでも迫力満点の狂言で、鬼達の強面の表情とは違った滑稽な演技や台詞が、会場からの笑いを誘いました。最後の総勢8名もの出演者全員による首引き(首にひもを付けて綱引きをする場面)は圧巻でした。
また見たいとのお客様からの声も多く、是非またこのような幸せな時間をご提供できる機会をとらせていただきたいと思っております。次回をどうぞお楽しみになさってくださいませ。
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