来週7月12日に行なわれます石苔亭いしだの定例狂言会。
名称をこれまでの「お豆腐狂言会」から「オモテナシ。狂言」と変えました。「オモテナシ」とは私たち旅館などのサービス業によく使われる接客用語ですが、その語源のひとつに「狂言」にまつわる説があります。
能で使われる「能面」のことを「おもて」と呼びます。能ではおもてが多く使われますが、狂言は「ひためん」と言って、おもてを付けずに直接演者が顔を見せて演ずるものが多くあります。演者と観客がおもてを付けず、顔と顔を向き合わせる…これが「おもて+なし」で「おもてなし」となりました。それは心からお客様をお迎えするといった私たちサービス業に携わる者の、心構えにも通ずるところがあります。
今回の「オモテナシ。狂言」で披露されるのは3演目です。
人間国宝 茂山千作先生によります「鬼瓦」。
昨年、文化勲章を受章され益々お元気な姿で、故郷に残してきた女房のことを、屋根の鬼瓦を見て思い出すというとても面白い狂言を披露してくださいます。
狂言「首引き」は、鬼が若い鎮西を自分の娘の喰い初めにしようとしますが、勝負をして勝ったら喰われてもいいという鎮西の言葉で、腕相撲・足相撲をやります。最後には大勢の鬼が登場しての首引きとなります。大勢の出演者が出る狂言です。
狂言「木賊」は昨年の早座祭りで初披露された、瀬戸内寂聴先生書き下ろし、茂山千三郎先生演出によります、この村が舞台となっている地元狂言です。学校狂言用に作られたものとはちょっと違った、大人の情話的要素も入った完全版です。奉公をサボっていた太郎冠者が主人にその言い訳をする際に、園原で木賊に磨かれて人が皆消えてしまったという嘘話をします。
ご鑑賞ご希望の方は、ほんの数席空きがございますので、石苔亭いしだまで落ち合わせをお願いいたします。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。