若旦那は毎年、地元の高校生に和太鼓をを教えています。練習した曲は7月の文化祭で発表します。今日も朝から公民館へ太鼓を教えに出かけていきました。今年で3年目になる和太鼓の講師ですが、必ず一度は高校生にカミナリを落とすのが好例になっています。
今日がその日でした。授業開始の時間が45分過ぎても、太鼓をドンドン打っているだけでなかなか授業が始まらなかったそうです。若旦那は生徒から自分たちで「太鼓の練習を始めてください」と言ってくるまで、ずっとステージの隅っこにあるピアノで、ピアノの練習をしていたそうです。なかなか始まらない授業に担任の先生もかなりヒヤヒヤしたのではないでしょうか。
気の付いた生徒が若旦那に「今日はなにをやるんですか?」と聞いてきたとき、若旦那は「今日はなにをやりたいんですか?」とそのまま生徒に聞きなおしました。そしてその後「私はこの45分間の間で一曲ピアノが弾けるようになりました」と言ってステージでピアノを弾いたそうです。どんな曲かは分かりません。そして「ピアノは一人の天才がいたらいいけれど、太鼓はここにいるクラス全員の心が一つにならなければダメなんだ」と続けたそうです。
その後、自分たちの祭りは自分たちで盛り上げるもんだとか、高校の文化祭はつまらないから行かないなんて、その文化祭を作ってるのはお前たちだろとか、私からすればいつものことなのですが、太鼓の練習もせずに若旦那の説教で今日の授業は終わったようで、家に帰ってきてから今日の練習が出なかったことに「あと4回しかないんだよな」と、ちょっと不安そうな表情を浮かべていました。
若旦那はこの旅館の社長となった今でも、子どもたちにどうやったら夢をつかめる大人になれるのか、折れない心を持ち続ける人間になれるのかを伝えたい根っからの教師なんだと思います。
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