若女将の日記

若旦那の日記〜生きる〜

今日、友人の通夜へ行ってきた。

仕事で悩みそれがきっかけで自ら命を絶ったそうだ。

1ヶ月ほど前、一人で愛車のバイクで旅館を訪れ、たわいもない話をして別れた。霊前にはその時かぶっていたヘルメットとグローブが飾られていた。奥さんの話から、4月の早座祭りを2人で見に来てくれていたことを知った。私や若女将が会場を走り回っているのを遠くから見て、忙しそうだから声をかけずにおこうと言って帰られたそうだ。

人がいなくなる。命が消える･･･とはどういうことなのか。

しばらく祭壇に飾られた友人の写真を見ながら考えた。

私にもいつかその日は来る。私の妻にも、生まれたばかりの私の娘にも必ずその日は来る。「生きる」とは生まれてから命が消えるまでのことを言うのだろうか。「生きていた」とはそこにその人が存在していたことを言うのか。

老衰で静かに命の火を消す人もいれば、自分の命の火を自分で消す人もいる。それも「生きた」ということかもしれない。

でも「生き抜いた」ことではないよ。

どんなに辛いことがあっても、どんなに悔しいことがあっても、やっぱり生きていなくちゃいけない。会社なんて辞めちゃえばよかったんだ。愛車のバイクでガソリンなくなるまで走ってみればよかったじゃん。悔しかったら大声で叫べばよかったんだ。つきあったよ。

「生きる」ことは簡単じゃない。それでも生きて生きて生き抜かなくちゃいけないんだ。きっと。

生きてるうちにこんな話ができたらなにか変わったのかな。

まだ死んじゃいけなかったんだぞ。友よ。

高校の文化祭

若旦那は毎年、地元の高校生に和太鼓をを教えています。練習した曲は7月の文化祭で発表します。今日も朝から公民館へ太鼓を教えに出かけていきました。今年で3年目になる和太鼓の講師ですが、必ず一度は高校生にカミナリを落とすのが好例になっています。

今日がその日でした。授業開始の時間が45分過ぎても、太鼓をドンドン打っているだけでなかなか授業が始まらなかったそうです。若旦那は生徒から自分たちで「太鼓の練習を始めてください」と言ってくるまで、ずっとステージの隅っこにあるピアノで、ピアノの練習をしていたそうです。なかなか始まらない授業に担任の先生もかなりヒヤヒヤしたのではないでしょうか。

気の付いた生徒が若旦那に「今日はなにをやるんですか？」と聞いてきたとき、若旦那は「今日はなにをやりたいんですか？」とそのまま生徒に聞きなおしました。そしてその後「私はこの45分間の間で一曲ピアノが弾けるようになりました」と言ってステージでピアノを弾いたそうです。どんな曲かは分かりません。そして「ピアノは一人の天才がいたらいいけれど、太鼓はここにいるクラス全員の心が一つにならなければダメなんだ」と続けたそうです。

その後、自分たちの祭りは自分たちで盛り上げるもんだとか、高校の文化祭はつまらないから行かないなんて、その文化祭を作ってるのはお前たちだろとか、私からすればいつものことなのですが、太鼓の練習もせずに若旦那の説教で今日の授業は終わったようで、家に帰ってきてから今日の練習が出なかったことに「あと4回しかないんだよな」と、ちょっと不安そうな表情を浮かべていました。

若旦那はこの旅館の社長となった今でも、子どもたちにどうやったら夢をつかめる大人になれるのか、折れない心を持ち続ける人間になれるのかを伝えたい根っからの教師なんだと思います。

もうお決まりですか？

もうすぐ母の日ですね。皆さんはどんなサプライズをお考えですか？私も、サプライズとまではいきませんが、日頃のお礼を是非伝えたいと思っています。なかなか、どんな風に母の日を迎えようかと悩み悩み、決まらないところです。

ただ品物を送るだけでは味気ない気もするし、気持ちが治まりません。やはり手間隙をかけたもの、ことにこだわりたいと考えます。しかし、時間も迫ってきていますし、まずはカードを作ることにしました。母がより「幸せだ」と感じてもらえるような事は何か？そんなことを考えていると、何だか自分まで幸せな気持ちになりますね。

石苔亭いしだにもそんなお客様が当日いらっしゃることと思います。スタッフ全員で、そんな皆様のご期待に沿えるよう、お迎えをしたいとおもいます。

春の雪

いつもゴールデンウィークが終わる頃になると、昼神温泉郷には「春の雪」が降ります。「春の雪」の正体は柳の胞子です。柳の木の枝には白い綿帽子がたくさん付いています。

道行くお客様からは「どこにタンポポがこんなに咲いているのかしら」と聞かれたりもします。この柳の胞子のことを「柳絮〜りゅうじょ〜」と言います。今年の柳絮は特に量が多くて、道端や庭先にたまってしまうほどでした。

今朝は昨晩の降った雨の後ということもあり、空気が澄んでとても木々の緑と青い空がきれいでした。爽やかな新緑の風景の中、白い「春の雪」が舞っているのは、なんともミスマッチではありながらも、美しい昼神ならではの春の終わりを告げる風景でもありました。

5月5日の背比べ

5月5日はこどもの日です。暦の上では立夏。

こちらでは朝からシトシト雨が降り出しまして、立夏とはいえ少し肌寒い一日となりました。

5月5日といってすぐ思い出される童謡が「背比べ」です。

柱の傷は おととしの 5月5日の背比べ

ちまき食べ食べ 兄さんが 計ってくれた 背の丈

なんとほのぼのとしていて、心が温まる歌詞でしょう。お兄さんが弟の背の丈を計っている風景がありありと想像できます。今はマンションだったり、きれいな家だったりすると柱に傷をつけたり、落書きするなんてなかなかできません。私のおばあさんの家は決してきれいな家ではありませんでしたが、みんなが集まる居間の柱には、小さな頃貼ったシールが今でも残っていたり、柱の裏側に書いた落書きがまだ消えずに残っていたりします。親戚一同がよく集まって夜中までみんなで騒いでいたおばあさんの家が私は大好きでした。

さて、先ほどお話した 童謡「背比べ」の歌詞ですが、「柱の傷はおととしの」とあります。よく考えるとちょっと不思議です。なぜおととしで、去年じゃないのか？

実は作詞された海野さんは病をわずらって、いつも5月に帰っていた故郷に帰ることができなくなってしまったそうです。故郷の家族のことを思って来年こそは帰りたいと、翌年帰ることを想像して書いたのがこの「背比べ」だということです。海野さんはその次の年に実家に帰ることができたのかは分かりませんが、故郷を思う優しい気持ちがこの歌の歌詞に歌い込まれているからこそ、童謡「背比べ」は、みんなから愛されているのだと思います。

写真はロビーに飾らせていただいている5月の掛軸の「錘馗様〜しょうきさま〜」です。地元の作家 北島新平先生の作品です。

ゆるやかに現実へお帰りいただけたら･･･。

こちらではレギュラーガソリンが163円に値上がりしました。分かっていたこととは言え、やはり現実を目の当たりにすると厳しさを実感します。テレビや新聞では国会での強行採決の様子や、食料品の値上がりのニュースなど見ているだけで気分が滅入ってしまう話題がつきません。

このゴールデンウィークは天気にも恵まれ、各高速道路では長蛇の交通渋滞がおきています。ガソリン代が高騰しているのに、こうしてお出かけいただけることに、観光地でお客様を受入れさせていただいている私たちにとりましては本当に有難い事です。

昨日のお客様のうち5組ものお客様が、お知り合いの方やご家族からの紹介で私どもの旅館への宿泊を決めてくださったと、夜のミーティングで報告がありました。今度はまたご友人の方を一緒に連れてこようかとおっしゃっていただいた方もいらっしゃると聞き、本当に有難い事だなとあらためてお客様によって支えられている石苔亭いしだを実感しました。

私たちの旅館がそういったお客様方にご提供できることは、この石苔亭いしだでの時間をいかに至福の時間と感じていただけるかということです。お一人お一人の味のお好みに合わせて料理がご提供できるか、お客様のご要望に対して精一杯な対応ができるか、そしてゆるやかに現実へおかえしすることも私たちがお客様に対してできることだと思っています。

石苔亭いしだからご出発の際にお渡ししている抹茶の金平糖は、ゆるやかに夢から現実へお帰りいただくためのものです。遠ざかるお客様のお車に手を振りながら「明日からもまた頑張ってくさいね」という気持ちを込めて見送らせていただいております。

昼神温泉のゴルデンウイーク

今日の昼神温泉は日中なんと気温29度まで上がりました。とてもきれいな青空が広がっています。若葉の緑と青い空が輝かしく目に飛び込んできます。お客様をお見送りながら、誰もがその美しさに心を奪われていたように感じます。帰ることに意識が集中していらっしゃったお客様には、あえてお声をかけさせていただきました。「きれいな青空ですね〜」と。

この美しさ、旅行の醍醐味ではないでしょうか？この環境や自然の持つ美しさはお金では買えません。自然が味方してくれた時の石苔亭いしだは、皆様の心をしっかりと捕らえて最高の旅にしてくれるはずです。心に「ほっ」とやさしさが届き、昼神温泉でのお土産となってくれたはずです。

今の季節、この昼神温泉の美しさを是非、多くの皆様にお届けしたいものです。それにしても今日のような気温の高さには少々戸惑いを覚えずにはいられません。阿智川には昼神温泉に訪れた大勢のご家族の皆様が、水遊びを楽しんでいらっしゃいました。

happy新聞

最近の新聞掲載記事が、なんだか悲しく、暗い記事が多いということから、もっと新聞を読んでいただいて幸せな気持ちになってもらおうという試みがあることを知りました。その名も「ＨＡＰＰＹ新聞」というそうです。

毎年4月6日に無料で、折込新聞として配布されるそうです。1年間の新聞記事の中から幸せになった、心打たれた、とされる新聞記事だけをのせた「ＨＡＰＰＹ新聞」です。全国から感想文を添えて応募していただくそうです。

その人それぞれに、心打たれた記事には「理由」があるんですよね。中には新聞の記事として扱われたのは量にして、たった数行の記事だったかもしれない････でも、ある人にはその記事がその時のその人の心に響くほどの重みを持った記事････という場合もあるんです。そんなことを知ればお互いにどれほど心強いことでしょう。それに新聞の記事全部がＨＡＰＰＹな話ばかりの記事で、そこにまた感想文なども添えられていたら、呼んでいる人も当たり前のように心温まる、幸せな気持ちになるのがわかります。

「暗い世相を吹き飛ばせ！ＨＡＰＰＹ新聞！」

とっても素敵な取り組みだと感じました。4月6日（ヨム日）が楽しみです。

1日のはじまり

最近は娘が私の目覚まし時計になってくれています。朝5時30分というと目を覚まし、ご機嫌よく私の顔をぺたぺたと叩いてくれるのです。春を向かえ、朝がとても気持ちがいいので、最近はやっとそんな娘に感謝するようになりました。

そこで、今朝は先日植えた山野草に水をやりに旅館へ出かけました。大丈夫、無事この土に落ち着いたようで、水揚げが出来ているようです。沢山の日を浴びて、元気な花をつけてほしいです。

朝市もよってきました。ゴールデンウイークが始まったこともあり、朝市もにぎわっています。ご自由にどうぞ･･･と試食や茶のテーブルにはいっぱいの人です。朝市の皆さんも大忙しですね。わくわくしますね。

楽しいゴールデンウイークをお過ごしください。