昨晩は珍しくペナン島にスコールのような雨が降った。乾季であるこの季節に大雨が降ることは珍しいそうだ。毎日届く旅館からのメールを見ると、最高気温1℃。最低気温が−11℃だという。バスのドアも凍ってお湯をかけなければ開かなかったくらいだそうだ。一年を通して気温が30℃のペナンにとっては、日本に四季があることが想像がつかないだろう。
そう、私たちの住む日本には四季がある。日本人はその季節の移り変わりにいつも心を寄せて大切にしてきた言葉がある。
春・・・春愁・雁風呂・朧・目借時・斑雪・東風・菜種梅雨
夏・・・夏越・短夜・万緑・麦の秋・黒南風・風薫る・青嵐
秋・・・門火・施餓鬼・灯火親し・野分・色鳥・色なき風
冬・・・埋火・寒紅・鬼やらい・垂氷・師走・凍蝶・雪折・初霞
冬にまつわる言葉でこんな言葉がある。「ふくら雀」
「雀〜すずめ〜」は季節を問わずいつでもいる。ここペナンのプールサイドにもチュンチュンと聞きなれた鳴き声で歩き回るのを見て雀は日本の鳥じゃなかったんだとあらためて気付かされる。それが「ふくら雀」となると冬の季節の言葉になる。「ふくら」は「ふくよか」と同じ意味でふっくらしているということ。「ふくら雀」は冬の寒さを防ぐために、全身の羽毛をふくらませて、ふっくらしている雀のことをいうそうである。
こんな季節をあらわす美しい言葉が数多くあるのも、私が四季のある日本に生まれたからなんだなと、プールサイドを歩き回る痩せたペナンの雀を見ながら思った。
参考文献:復本一郎著「日本人が大切にしてきた季節の言葉」青春文庫
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