9月12日江ノ島を出発した「中村屋LIVEツアー」もいよいよ最終日を迎えた日のことです。朝早く長野県岡谷市を出発し、昼神温泉へ向かうルートから少し外れ、安曇野市にあります特別養護老人ホーム「常念荘」へ向かいました。
移動式のラーメン店であるこのキャラバンを作るにあたり、中村さんと「ラーメンのできる可能性」について徹底的に話しました。話の中でラーメンが人の元気や勇気や生きがいに関わることができたら素晴らしいという思いが中村さんから語られ、神奈川まで食べに来ることができない人のもとへこのキャラバンなら中村屋の「ウマい」を届けることができるということで話が盛り上がりました。
過密なスケジュールの今回の「中村屋LIVEツアー」でしたが、そういった思いもありこの老人ホームの訪問は欠くことのできないものでした。LIVEツアー出発前に老人ホームの所長さんはじめ介護に関わるスタッフの方と打合せをさせていただく中で、一口で老人ホームでのラーメンの提供をするといっても、私たちが考えているよりそれはかなりハードルの高いものだということがわかりました。常念荘に入所されている皆さんの介護レベルはかなり高く、食事の際に介助が必要な方や、ミキサーで細かくしなければ食事を取ることのできない方がたくさんいらっしゃいました。
「本当に私たちの老人ホームでいいんですか?」
そんな言葉が打合せの冒頭の言葉でした。
ミーティングルームで介護に関わるスタッフの皆さんとの細かい打合せの中で、中村屋の「ウマい」が決してここに入所されている皆さんの「ウマい」ではないということがわかりました。長い麺を喉につまらせ命に関わることも考えられます。私たちが普通に噛み切れる麺が噛み切れない方もいらっしゃいます。入所されている約80名の皆さんの顔を見させていただきながら、入所者の皆さんに合わせたラーメンを作ることに、中村さんと相談をしながら決めました。
麺の長さは2センチ・5センチ・10センチと長さを段階的に変えました。
スープの熱さやゆで加減もすべて調整を加えました。
その日のお昼は常念荘のスタッフの皆さんの献身的なご協力もあり、入所者の皆さんに中村屋のラーメンを提供することができました。わざわざ厨房まで来ていただいて「ありがとう。」「美味しかった。」と言ってくださる方や、「美味しいですか?」と尋ねると、ただただ“うんうん”とうなずいてくださる方の姿に心打たれました。
所長さんや常念荘スタッフの皆さんからも、
「いつもより箸のスピードは早かった。」
「なかなか食べてくれない方も今日は残さず前部食べてくれた。」
と言っていただきました。
今までにないラーメンの提供に大変の面も多々ありましたが、ラーメンを食べて嬉しそうにしてくださっている皆さんの顔を思い浮かべながら、これからも1年に何度かは、こんなツアーにも出かけて行きたいと、常念荘を後にしながら中村さんと話していました。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。