若女将の日記

海外研修旅行

いよいよ明朝早くに石苔亭いしだのスタッフの１班が、海外研修旅行へと出発します。昨年からいしだの旅行は海外で行くことになりました。これは若旦那が、一流のサービスをするためには、世界の一流のサービスを体感しなければ分らないということで、国内旅行から海外旅行へと変えたことがきっかけです。

今回も前回と同じバリ島へ出かけます。

前回は「なにもしない贅沢」を体感するためにオープンエアのフロントロビーのあるバリホテルへ宿泊して、プールサイドでゆっくり過ごしたり、３時間ものエステを満喫したりしましたが、今回の旅行のテーマは「日本旅館の素晴らしさと可能性を感じる」ことだそうです。それならば、何もバリ島まで行かなくても、日本を代表すると言われている旅館に行けばいいと思うのですが、若旦那は違うといいます。

「日本人が日本の良さを感じるには、日本を客観的に見ることができなくてはいけない。私たちは日本人であることで日本の本当の良さに気付けなくなっている。世界から日本はどんな国だと思われているか。外国になくて日本にあるものは何か。それをバリ島でみんなで考えるんだ。」

昨年もバリ島のビーチで、スタッフ全員が集まって、これから石苔亭いしだでどんなサービスをして行こうか深夜まで話しました。今回もきっとそんなミーティングがもたれるのではないでしょうか？

お客様からのお声

私どもには多くのお客様に支えられながら今日を迎えております。常日頃お顔見知りになっているお客様と本日は何気なく、最近のニュースについて話題になりました。

毎日といってよいほど悲しい事件が報道されております。

そんなことを話しながら、自分達は未来に向けて出来ることは何があるのだろうか？

そのお客様は今までの経験や仲間を集いながら、募金活動やチャリティー活動をなさっているそうです。もちろん幅広い趣味をお持ちの方ですが、その中から能面についてお話を聞かせてくださいました。ご自分でも面を彫られて勉強をされているようです。

実は私ども石苔亭いしだにもいくつかの能面があります。そこでそのお客様はこんなお声を下さいました。能面には人間の嫉妬や憎悪を能面にて表現しいるものがあります。そんな面を使いながら、何か人々に訴えかけられることは出来ないだろうか・・・と。

石苔亭いしだは、日本の文化に触れ、発信していくことを目的とし、狂言やお能を定期的に行うように努めております。その時に是非これら能面を展示し、実際にお客様に手で触れていただけるようにしたらどうか、そして遠くに感じているこうした意味のある日本の文化にもっと興味を持っていただき、身近に感じていただけるよう是非考えてみてはどうですかとお話を頂きました。

とても嬉しく思いました。母の時代では出来なかったかもしれないことでも、そこに価値を見出し、皆様に語りかけることが出来る方法がもっともっとあるかもしれません。

未来に向けて何かメッセージ性のうまれる仕事が出来ることは、本当に幸せなことです。私達に出来ること、もっともっと考えてゆきたいと思います。

ジビエとワインの夕べ

昨日、安曇野で開催されたジビエを使ったお料理と安曇野産ワインを組み合わせたコース料理を食べてきました。ジビエ独特の風味とワインの味わいがあいまってとても美味しいお料理でした。メニューは以下の通りです。

＜メニュー＞

自家製鹿肉のサラミ　信州リンゴの香り

雉のテリーヌ　トリュフ風味　メリメロサラダ添え

猪のシベ　地野菜・ヌイユ仕立て

完熟シシトウと完熟トマトのマリアージュ

鹿のロースのロティ　サルミソース

熟柿のスープ

黒豆のモンブラン

コーヒー

＜ワインリスト＞

2005シャルドネ安曇野（樽発酵）

2005Chateau La Bastide Chardonnay（VDP）

2004ブラッククイーン松本平

2005ソーヴィニヨンブラン青木原

2005メルロールージュプレミアム

1996Vieux Chateau Cloque（Pomerol）

淡白な猪肉のお料理も、味わいの深い赤ワインと一緒に口にすると、まったくその味わいが変化して、一つのお料理で何通りもの味が堪能できました。一緒に出されたフランスのワインも美味しかったのですが、地元安曇野産のワインもそういった世界でも有名なワインと肩を並べるほど美味しかったことにもびっくりしました。

定期健康診断

今日は石苔亭いしだの定期健康診断の日です。普段は会席場として使用している部屋に、心電図や聴力などを測る機械が運び込まれて、あっという間に診察所へと変身しました。駐車場ではレントゲン車にてレントゲン検診が行なわれました。

比較的、サービス業というのは不定期な時間帯での仕事が続きますので、一年に一度の定期健診は大事なものとなります。結処（フロント）から鬼灯（板場）まで、診察室の前に並んで診療の順番を待っている様子を見ると、ここが病院のようにも思えてきました。

お座敷で診療を受けているスタッフを見ながら、こんな病院もあってもいいのかなとふと思いました。

工房倭人・駒井さんのデザイン

昨年の夏に石苔亭いしだのオリジナル手ぬぐいのデザインでもお世話になっている工房倭人の駒井さんと、新作浴衣の打合せをさせていただきました。今年の4月からの客室名の変更に伴い、新作浴衣は狂言の題材をモチーフにしたデザインとしていただくことに決定しました。

そのデザインができあがってきました。どんなデザインが出来上がってきたのか駒井さんの説明を添えていち早く、若女将の日記をご覧の皆様にお知らせいたします。

女性用

「千鳥」（右の写真）

お酒のお話ということで、小紋・抜き紋に瓢箪を使用しました。これを透かせて、さざ波に飛ぶ千鳥のデザインを配しました。

「うつぼ猿」（真ん中の写真）

くくり猿（三くくり）というデザインに矢車を配しました。背景は「むじな菊」といって、本来はむじな（穴熊）の毛のように見えることからそう呼ばれますが、今回は、猿の毛並みを表わすイメージとして使用しました。唐草模様は、うつぼ猿の可愛らしいイメージからの連想です。

もうひとつ女性用として「神鳴」のデザインもいただきました。

男性用

「釣狐」（左の写真）

篭目に狐のシルエットは、罠にかかった狐を表わします。背景の笹・露芝草は、何となくで申し訳ありませんが秋の夜のイメージです。

染物の業者さんや茂山千三郎先生にご覧いただいてから、デザインが決定されたところで本格的な制作となっていきます。出来上がりを楽しみにしていてください。駒井さん、素敵なデザインを有難うございました。

大工さんの仕事始め

今日から客室の改装工事が再開しました。1月16日は大工業界では「がきのくび」と呼ばれている日だそうで、でっちさんが仕事をしてはいけない日だそうです。どんな字を書いて、どんな意味があるのかは分りませんが、客室の改装が間に合わないため、今日から大工さん達の仕事が始まりました。

昨年の年末に完成した花散る里タイプの122号室・123号室に続いて、今日から改装に入る部屋は、その隣の120号室・121号室となります。今日はまず壁壊しの作業から始まりました。柱や必要な棚などは残しながら、大工さんは大胆に壁や戸を壊していきます。この2部屋も床の間の壁が土壁となっていきますが、これまでに完成した2部屋と大きく違うのは、次の間に掘りごたつの間ができることです。

この部屋が完成しますと、次はちょっと大きな部屋タイプの客室の改装に入ります。全部屋の改装が終了するのは3月上旬くらいの予定です。また改装の進み具合をお知らせいけたらと思っております。

全客室でインターネットができるようになりました。

一日中かけて業者の方が、客室にパソコンを設置してくださいました。先日の工事で既に館内全部に無線LANのケーブルが引かれましたので、今日、全部屋にパソコンが設置された時点で、全ての客室においてインターネットもできるようになりました。

通常はテレビのリモコンで操作していらだけますと、地デジ放送をご覧いただくことができます。パソコン用のリモコンもしくはパソコン本体のボタンを入れていただきますと、画面がパソコン画面に切り替わります。

テレビ画面も地デジの画像を受信できるようになり、とても綺麗な映像で番組をご覧いただけるようになりました。加えて、インターネット完備になったことから、お部屋にいながらにしてあらゆる情報を入手できたらり、様々なコミュニケーションがとれるWEB環境が整いました。

パソコンの電源を切りますとそれまでの情報などはすべてリセットされますので、個人情報なども安心です。

どうぞお客様の使いやすいスタイルでご利用になってくださいませ。

裏庭へ続く敷石が移動しました。

今、玄関前の庭が日に日にその形を変えています。今日は、裏門へ続く通路に敷いてあった敷石が大きなクレーン車によって持ち上げられ、新しく玄関の入り口となる所へ移動する作業が行なわれました。

直径5メートルほどある大きな石の板でしたが、庭師の皆さんが丁寧に移動してくださったおかげで、綺麗に新しい場所に収まりました。まわりの土などを整えて、山土を入れていただくと、あたかも昔からその場所にその敷石があったかのように庭の風景に溶け込みました。

先日、移動した青石は6トンありましたが、今日移動した敷石は3トンあったそうです。青石の穴から湧き出す湧水が、石を伝って敷石の隙間に落ちていき、その水が川となってこれから作られていく玄関前の景色を作っていく予定です。どうぞお楽しみにしていてください。

お部屋の名前が決まりました。

先日、それぞれのお部屋の名前が能狂言の演目の名前に統一されるというお話をしましたが、茂山狂言会の茂山千三郎先生にも相談に乗っていただき、だいたいの名前が決定してきました。これまでの名前がどんな名前になるのか、ちょっとご紹介いたします。

【結崎タイプ〜ゆうきタイプ〜】：旧式部庵タイプ

101 靱　猿　（うつぼざる）

102　釣　狐　（つりぎつね）

107　庵 梅　（いおりのうめ）

【坂戸タイプ〜さかどタイプ〜】：旧宇治十帖タイプ

103　花　子　（はなご）

105　末広がり（すえひろがり）

106　福部の神（ふくべのしん）

【外山タイプ〜とびタイプ〜】：旧源氏庵タイプ

111　寶の槌　（たからのつち）

112　財　宝　（ざいほう）

113　麻　生　（あそう）

115　三本柱　（さんぼんばしら）

116　蝸　牛　（かぎゅう）

【円満井タイプ〜えんまいタイプ〜】：旧花散る里タイプ

120　伊呂波　（いろは）

121　土　筆　（つくづくし）

122　柑　子　（こうじ）

123　寝音曲　（ねおんぎょく）

125　花　争　（はなあらそい）

131　止動方角（しどうほうがく）

132　萩大名　（はぎだいみょう）

133　千　鳥　（ちどり）

狂言のことをご存知の方にはどれも「あ〜あの話か。」と分るような有名な演目ばかりです。狂言が分らない方でも名前を見ているだけで、想像がかき立てられるような名前ではありませんか？名づけられたお部屋の名前にあわせて、お部屋の室礼も変わって行きます。4月よりこの名前に変わる予定でおります。それぞれのお部屋の名前にどんなお話が隠れているのか探してみるのも面白いと思いますよ。

石苔亭いしだのご神木

石苔亭いしだの玄関の脇には「石抱きの欅」という樹齢800年以上の欅〜けやき〜の木があります。南信濃村の瓦礫の山に力強く根を張って生えていた欅の木だそうです。根元から幹が切られており、そこから二十本以上の枝が出て現在の樹形になったそうです。

毎年、玄関前に飾られる注連縄が取り外されると、この欅の木に巻かれます。これはこの欅の力強い生命力に感動した石田オーナーの気持ちの表れでもあります。石苔亭いしだが建てられて、この欅の木が山から運び出されて玄関脇に植えられたとき、根付くかどうかが危うく、何度も枯れてしまいそうな危機があったようですが、欅自身の持つたくましい生命力でしっかりと根を張り、息を吹き返したという話も親から聞いたことがあります。

今年もご神木でもあるこの「石抱きの欅」に、私たちの旅館を温かく見守っていただきたいと思っています。

よろしくお願いいたします。パンパン！！