日本とイタリアの様々な人の協力によって、今回の日本とイタリアの料理コラボレーションは実現することができた。イタリアレストランのサルバトーレさんの呼びかけでレストランには、10人ほどのゲストが集まった。日本人シェフの桑原さんと遠山さんは、厨房を借りることのできる短い時間の中で、慣れない調理器具を使いながら汗だくになって調理をしていた。昨日まで笑顔で打合せをしていた表情とは3人とも明らかに違う真剣な表情だった。イタリアの食材と日本の調味料が3人のシェフによって、一つの料理として出来上がっていく光景は、料理ができない私でも見ていて胸がドキドキした。
一品目の料理が出された。シャンパングラスに盛り付けられた前菜は、日本のそうめんをイメージした冷製パスタであった。日本のダシと青故とブラックオリーブのペイスで作ったソースであっさりとした味わいの中にも濃厚なテイストが効いている今まで味わったことのない味だった。次に出されたのがイタリア風茶碗蒸し。手長海老の頭と尻尾からダシをとった濃厚なスープをベースにしたこれもまた初めて味わう茶碗蒸しであった。その他にも天麩羅に三種類のソースをかけた料理や、お餅や里芋の煮付けなどをイタリア風にアレンジさせた料理など、驚かされる料理が連続した。
お客様の反応は抜群で、「ボーノ、ボーノ」(イタリア語で美味しいの意味)の連呼であった。中でも鶏肉のグリルにわさびとアボガドをミックスさせたソースは、イタリアの人に受け入れられるか心配したが、これもとても美味しいと評判で、この頃には言葉が「ボーノ」から「オイシイ」という日本語に皆変わっていた。
和力の音がロンドン・イタリアの人々に好評であったように、日本からやってきたシェフの料理もまたイタリアで絶賛であった。最後のデザートが終わると、今回、初めて訪れたイタリアで腕をふるったシェフを賞賛して「サムライシェフ」の掛け声がかかり、レストランいっぱいに響く大きな拍手が起こった。今回の料理コラボレーションを快く引き受けてくれたサルバトーレシェフ、通訳をしてくれたトラットリアZAZAの清水さん、集まってくれた多くのお客様、休憩時間も取らずに手伝ってくれたレストランスタッフ、そしてこのコラボレーション企画の為に力を貸してくれたすべての人達に、心から感謝したい。心に残る料理企画であった。
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