<プライベート空間の逆にあるもの>
今日は若女将が友人の結婚式へ行っているため、私が代筆させていただきます。
中庭の竹柵の工事が完了し、先日バリ島でオーダーしてきたデッキチェアが、四月に到着すると客室から外に出ることのできる庭園がやっと完成します。昼間と違い、夜になると庭木が照明で照らされたり、客室から温かな光が漏れてきたりしていい雰囲気になります。こんな中庭でカクテルでも飲めたら最高だなと思いながら……同時に心配事が脳裏をよぎりました。
すべてのお客様が、この中庭に出てきてしまったらどうなるんだろう。きっと話し声も聞こえてくるだろうし、竹柵で目隠しがあるとはいえ人がいる影も見えてしまうだろう。もっと竹柵の目を細かくして隠さないといけない…。
今、ホテル旅館では「プライベートな空間」をいかにお客様に提供できるかがキーポイントとなっています。個室露天風呂や温泉付客室が人気なのも、部屋食ではなく個室会席場やレストラン形式の食事提供が好まれるのも、そういったお客様のニーズがあるからです。
2007年から3年間をかけて、「団塊の世代」の方々が、定年というハードルを越えて、様々な方向へ動き出します。先日、東京カレンダーの平澤さんとの話の中で、この世代の人は、「もの」ではなく、「価値観」や「精神」や「想い出」を大切にする人たちだということを聞きました。
この世代のお客様のはたしてどのくらいの方々が、「プライベート空間」に重きを置いているのだろうか?塀や壁で広い庭を囲って、となりのお客様と絶対に目が合わない旅館ホテルがあるならば、その逆もあるいは「あり」なのかもしれない。
そんなことを考えながら、中庭を眺めていました。もうちょっと整理して、明日の日記に書きます。
つづく
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