<滞在のコンセプトをはっきりさせる>
先日、社員研修旅行でバリ島へ行ったときのことです。
滞在していたホテルのロビーは、大きなグランドピアノごしにプールの見える開放感たっぷりの雰囲気のあるスペースでした。
夜9時をまわった頃でしょうか。オーストラリア人がピアノを弾き始めました。しばらくするとピアノの周りには、カクテル片手にいろんな国の人たちが集まりだしリクエストしだしました。驚いたことにそのオーストラリア人は、リクエストされる曲をほとんど弾くことができ、その度にロビーは拍手喝采となりました。
30分ほど経った頃でしょうか。フロントスタッフがピアノのところに走ってきました。「宿泊されているお客様からピアノの音がうるさい」とクレームが入ったので、ピアノを中止してくれということで、その場にいた人たちは解散させられました。
ここで大切なのは、このホテルはクレームが出るかもしれないピアノを、なぜあえてフロントに置いあったかということです。
昼間に海風を感じながらピアノの調べに酔う…ホテル側にはそんなリッチで優雅な風景がイメージにあったのかもしれません。しかし、その風景は微妙な夜9時という時間帯に起こってしまった。しかし、それはピアノを設置する時点でも十分予想されたことです。
私たちの旅館にも、第3ロビーとも言える中庭が誕生するかもしれません。外に出て談笑できるデッキや、外用のチェアが置いてある庭です。どんな滞在スタイルを私たちはお客様に提案したいのかを明確にしなければ、バリのホテルのようにせっかく盛り上がったお客様同士の雰囲気に水をさすこととなってしまうのかもしれません。
壁がなくなったから開放的になった、デッキチェアがありますからどうぞお客様の好きなようにお過ごしください…それだけでは、あまりにも無責任な空間となってしまうのです。プライベート空間の逆にあるものとは、そういうことではありません。
つづく
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