ちょっと前の話になります。私たちの旅館において初めてのウェディングをさせていただいた日の10日前ほど前からの話です。
人前式の際の音楽として「雅楽」の演奏は決まっていたのですが、若旦那が「能舞台で「雅楽」は当たり前すぎる。」と言い出したのです。
「せっかくこの旅館で人生のスタートをきるお二人に、もっとサプライズのある、これまで見たことのないウェディングを提供したい。雅楽だけではダメだ。」
この日から、行程表にあったありきたりの人前式の構想は白紙となり、の構成をはじめから考え直す作業が始まりました。
私たちの結婚式のときに、馬に乗って街道を練り歩いた「花嫁道中」を再現させようということで、その時にお世話になった牧場の方に連絡を取りました。最初は馬送車の車検が切れているので無理だという返事をいただいたのですが、「花嫁道中」を盛り上げるために力になりたいと申し出ていただき、今回のためにわざわざ車検を取り直し、馬の搬送をしていただきました。
「雅楽」と「ゴスペル」のコラボレーションでなにかできないかという、若旦那からの漠然とした声に、それぞれのプロのアーティストの皆さんが快く協力をしてくださいました。それぞれ遠く離れている所に住んでいるため、お互いに電話でやり取りをしてイメージを共有したり、電話口で歌を歌ったりしながら曲想を練り上げていきました。
前日にそれぞれのアーティストが当館で初顔合わせを行なったのですが、若旦那を含めてなにか以前から知っているような不思議な雰囲気が流れていました。
ものを創りだすということは、現状を壊すことから始まっていくのだなと感じます。そして一番大切なのは、それに関わる全てのスタッフが「いいものを創りたい」と強く願うことだということを学びました。
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