当館にはロビーに能の場面の絵が飾られております。三重県からお越しくださるお客様はよくご存知です。大体の方が目に留められお声をかけてくださいます。
能画家、二井榮逸さんの絵が飾られています。二井榮逸さんは幼い頃から足が不自由であるという事もあって、謡を習いはじめ喜多流能楽師となり、日本画を習い能画家となる、そして生け花も習われ清雅流の宗家となられました。彼にしてみるとそれら全てが舞台で演ずる事につながっていたのです。彼は幼い頃からの憧れを実行したくても出来なかった思いを別の形で表現し、思いを成し遂げようとされたのでしょう。一見とても線の細い柔らかな絵を書かれているように見えますが、二井榮逸さんの作品は思いの強さがにじみ出た奥深い幽玄の漂いを感じさせる事で絶大な評価を得てお出でです。平成元年石苔亭いしだに能舞台が出来た時、若い頃「画家になりたい」という夢をもっていた私の父がご縁あって二井榮逸様の絵を手に入れたそうです。
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