チェックインの際の音がピアノのBGMに変わったとか、蓄音機が奏でる音だとか、最近、音に関するお話をさせていただくことが多くなっておりますが、当館が様々な音にこだわるようになったいくつかのきっかけがこれまでにありました。今日はその中のひとつをお話したいと思います。
日本には「序破急」というものがあります。「序」ははじまり。「破」でものごとは展開し、「急」で高まっていく。そしてまた「序」に戻っていく・・・・。日本の物事というのは「起承転結」のような4つのリズムで構成されているのではなく、常に「序破急」の3つの構成で出来上がっています。石苔亭いしだの音の流れを「序破急」に当てはめたときに、「急」にあたる部分が能舞台での宴であるならば、「序」にあたる部分のチェックインの音は既に宴の序曲のようなものでなければならないと考えました。チェックインの音を考えるときに、常に考えなければならないのはこの音がどのように次の音ににつながっていくかということです。夜11時になると拍子木を打ちながら「火の用心」が館内を回ります。音がまた静寂に戻っていく時です。
お客様にとって当館で過ごされる時間が少しでも心地よい空間であるための「音探し」をこれからも続けていきたいと思っております。
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