〜若旦那の日記〜
若女将が明日帰ってきますので、今日まで若旦那の日記で我慢してください。
今日、茂山千三郎長野県社中の発表会が園原能楽堂で行なわれました。約1年間、月に二度のお稽古を続けてきた成果を発表する日です。自分は京都のお社中にも入っているため、もう5回ほど能舞台で発表する機会はありましたが、地元長野で初めて開催される今回の舞台は、これまで以上に緊張しました。
園原の里は今が紅葉真っ盛りで、園原能楽堂から望む網掛山は、それは見事な景色でした。いい季節に狂言の発表会ができることを喜んでいたのもつかの間、奥の山の方から「ゴロゴロ…」という神鳴の音。しばらくするとザーッと凄い音を立てて雨が降ってきました。若女将が今、ニューヨークへ行っており、その若女将が今回の発表会でやるはずだった演目が「神鳴」だったため、これが神鳴さんが、若女将の代わりに能舞台までやって来てくれたのかもしれません。
本番前になると、どのお社中の人も顔つきが変わってきました。不安そうな顔の人や、開き直って清々とした顔の人、寸前まで台本を持ってウロウロ歩き回っている人(私です)など、舞台裏は騒然とした雰囲気に包まれていました。いったん、舞台が始まるとあとは早いものです。次から次と演目は終わっていきました。それまでの不安そうな表情とはうって変わって、舞台に立つとどのお社中の方も大きな声で堂々と演じることができ、観客の皆さんも大いに笑って楽しんでいただいたようでした。
舞台が終わっての後会では、茂山千三郎先生からひと演目ずつ、ご講評をいただき、次への目標を教えていただきました。地域の皆さんにも、だんだんと狂言がどういうものかわかってもらえてきたように思います。
私たちの狂言会の名前を茂山千三郎先生から、この地にちなんで「木賊狂言会〜とくさきょうげんかい〜」と付けていただきました。次は4月の桜の花が咲く頃に「お花見狂言」ができたらと思っています。
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