昨日、NACS企画の「五感で愉しむ空間」で漆のちゃぶ台・座布団・暖簾でご参画いただいた木曽の漆作家 七代目ちきりやの手塚さんのお店へ行ってまいりました。大事なお願いごとをしにお邪魔したのです。
先日もお話をしましたネオジャパネスクの文化提言のイベントで、呈茶の時に使う「お盆」を伝統的な漆の手法を使って作っていただくよう手塚さんに若旦那がお願いに行ったのです。フィレンツェのピッティ宮殿の中庭で行なわれます「あい茶」の会で、お茶椀とお菓子が乗る「お盆」です。
手塚さんからいろんな塗りの漆作品を見せていただきました。一口に漆塗りといっても様々な技法があり、刷毛の使い方や顔料の組み合わせによって同じ漆でもその表情や風合いがずいぶんと変わることを教えていただきました。それだけでも価値のある漆工芸なのに、若旦那は「これまで見たことのない斬新な手法で作品を作ることができないか」と、またまた無理難問をぶつけます。
「イタリアにおいて“うるし”は既にポピュラーなものになりつつある。“うるし”のことを『ジャパン』と呼んでいるほどで、日本の代表的な伝統工芸品として認められている」
と、手塚さんが教えてくれました。だからこそ、フィレンツェの皆さんに「これが“うるし”なの?」と驚かせるような斬新なデザインと技法が必要だと、手塚さんと若旦那はたくさんの漆作品を前に、長い時間、ああでもないこうでもないとお互いの考えをぶつけ合っていました。
最終的に決まったものは、漆に伝統的な手法を使って「ひび」を入れるといったものでした。しかし、これは意図的に漆の乾き方に時間をかけることによって「ひび」を出すといった難しい手法で、必ずきれいな「ひび」が入るかわからないと手塚さんは言っていました。これから試作品を作って想い描いたものが作品となるのか試行錯誤していくと思います。
どんな「お盆」になるのか楽しみです。
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