理想どおりの会社を作るのに、一番早い方法は、その会社の社長がすべて自分で行うことです。孫悟空みたいに自分の毛を抜いてヒュッと吹くと、自分の分身なんかが何人も出てくると最高ですね。
しかし、会社で働いているスタッフは自分以外の他人集団です。考え方も違えば、価値観も違います。よく私は旅館のスタッフにこんな注意の仕方をします。
「センスよくやっといてくれよ。」
「う〜ん。ちょっと違う気がするな。もうちょっといい感じにならないかな。」
なんとも適当でいい加減な投げかけです。しかし、そこで私はスタッフを伸ばしています。
「このテーブルの上には赤い花が似合うから、そこの赤い花を差しておいて。」
これは“このテーブルには赤い花”という答えです。
「このテーブルに合う花を飾っておいて。」
これは“宿題”です。宿題の答えは自分で探さなければなりません。
テーブルの上にとんでもないものが飾られたらどうするんですか?と以前聞かれたことがあります。スタッフに全部任せてしまったら旅館の統一感だとか、雰囲気がバラバラになってしまうのではないかということです。
確かにこれは困りますね。こちらはゆりの花。こちらはサボテン。こちらは山野草・・・となるとどうも落ち着きません。この旅館のセンスはどういうセンスをしているのか?ということになってしまいます。
だからこそ、“宿題”を出した後の“答え合わせ”が必要となってくるのです。
「能舞台とこの花の色合っているかな。」
「なんとなくしっくり来ないな。なにか足りないかな。もうちょっと考えてみて。」
最初は時間がかかりますが、そうしているうちにだんだんとスタッフにも、この旅館のストライクゾーンがわかってきます。
テーブルの花の色がバラバラということは、すなわちスタッフ一人一人の感性や価値観もバラバラということなんです。社長の一言で、花の色が赤色に統一されたところで、それはなんの意味もありません。大切なことはその旅館の感性をいかにスタッフ全員で共感し共有できるかということです。
「生きる力」をどうつけるかという、私の教師時代の話から始まった「若旦那の日記」でしたが、これで終わりとさせていただきます。明日からは若女将が復活いたしますので、どうぞそちらでお楽しみくださいませ。また機会がありましたら登場いたします。
若旦那
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